インド、中国は買いか?

一方、景気後退局面では、企業の業績が悪化し、株価が下がります。中央銀行は金利を下げて景気を刺激しようとします。投資家は、より有利な利回りの債券を保有しようとするので、債券が買われて価格が上昇し、金利が低下する。消費や設備投資の意欲も後退するため、商品や原油、資源国や新興国の通貨や債券、株式も売られます。

より強い資産を探すには、国ごとの経済成長の変化率にも注目する必要があります。例えば、IMFの見通しではBRICsの一つであるインドの成長率は、2012年以降、5.1%、6.9%、7.3%と上昇しています。これに対し、中国は7.7%から7.3%、6.8%と下落。この2カ国を変化率で比べた場合、インドの資産が選好される傾向があるのです。

また、成長見通しでは、今後2年程度の経済成長率の予測に加えて、前回の公表時からどう変化したかを示す「修正値」も発表されます。上方修正された場合には、その国の経済は好調だと言えます。株式も通貨も上昇が期待できるので、買われることになります。逆に、マイナスの修正が行われたり、マイナスの幅が拡大した場合には、株式も通貨も売られます。その国の株式などを保有している場合は、売却するか、保有比率を下げることを考えるべきでしょう。例えば、米国は景気拡大が続く見通しであるものの、成長率は下方修正されています。そのため、米国株は買われるものの、上値は重いかもしれません。なお、経済見通しは、機関ごとに異なるので、IMFと世銀など複数を比較するといいでしょう。

なぜ「金」は強いのか

また、政治的混乱や戦争、経済危機などが起きた場合には、価値がゼロにならず、国籍を持たない通貨とも呼ばれる金が買われます。半面、金には金利がつかない短所もあるため、金利上昇局面では売られる傾向があります。

選好される資産は、市場参加者の心理状態でも変わります。相場の先行きに不透明感が漂うと、投資家がリスクを回避するリスクオフになり、株式や新興国の通貨、商品が売られ、比較的安全とされる米ドル(米国債)や円(日本国債)が買われます。

逆にリスクオンのときには、株式や新興国の通貨、商品が買われます。投資家心理は、VIX指数(恐怖指数)の値動きを参考にするといいでしょう。

(大山弘子=構成)
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