Facebookで日本のオタクコンテンツを発信

【田原】このときにFacebookで日本のオタクコンテンツを発信する「Tokyo Otaku Mode」を始めたんですよね。

【亀井】はい。ただ、Tokyo Otaku Modeは友達たちと何かやりたいねという話から始まりました。だから電通の仕事とは別です。

Tokyo Otaku Mode 会長 亀井智英氏

【田原】友達というのは?

【亀井】そもそもの話をすると、iモードが世に出てきて、iモードのコンテンツビジネスをする人が増えてきた。そこで、モバイルに興味のある人たちが集まって勉強会をやっていました。そのメンバーの一部とはモバイル以外のことでも情報交換を続けていて、何人かはTokyo Otaku Modeの創業メンバーになっています。

【田原】どうしてTokyo Otaku Modeをやることになったのですか?

【亀井】電通にいたころ、人材ビジネスもしくは転職ビジネスをやっているビズリーチに話を聞きに行きました。すると、社長の南壮一郎さんから「亀井君ならいつでも転職できる。その前にうちの新規事業を手伝ってくれないか」と誘われまして。いずれ起業したいと考えていた僕にとって、事業をゼロからつくる経験は魅力的。引き受けて、南さんが集めた仲間と一緒にゼロをイチにするところまでやりました。イチになったら、その事業にフルコミットできる人たちが新しく入ってきて、僕たちは卒業することになりました。でも、イチの続きを見てみたい気持ちもあったし、ゼロからイチにするのが楽しかったのでもう一度やりたかった。それで今度は自分たちでという話になり、Tokyo Otaku Modeにつながっていきます。

【田原】オタク情報に目をつけたのが先ですか。それともFacebookが先?

【亀井】Facebookです。当時すでに世界に5億人のユーザーがいました。何をやるにしろ、ターゲットは日本よりそこだなと。

日本発+更新感がある=オタク情報

【田原】それで、どうしてオタク情報?

【亀井】まず僕たちが日本にいるアドバンテージを生かしたほうがいいと考えました。最初は日本発のコンテンツとして、伝統芸能や旅行、食を考えていたんです。でも、伝統芸能は普遍的で、新しい情報が出てきにくい。情報の更新が少ないとユーザーは見てくれないので、やはり難しい。そこで目をつけたのが、日本のマンガやアニメ、ゲームでした。マンガやアニメは毎週出てくるし、ゲームも月に何本か出る。情報の更新性が高いので、これだと。

【田原】日本のオタクコンテンツは海外で人気が高いと聞きます。

【亀井】そう聞いていましたが、本当に人気があるのかどうかはよくわからない。それで取りあえず実験的にやり始めました。Facebookだからお金もかからないし、週末起業みたいな軽いノリでした。

【田原】お金がかからないって、コンテンツ自体は亀井さんが仕入れなくちゃいけないんでしょう?

【亀井】いや、僕たちはマンガやアニメを直接海外に流すのではなく、例えばマンガがいつ発売になるよとか、今度こういうアニメが始まるよ、いまこんなグッズが人気だよといった情報を発信するのです。

【田原】なるほど。コンテンツそのものじゃなくてニュースですね。発信は英語で?

【亀井】そうです。最初は自分で英訳してました。めちゃくちゃな英語だったので、知人に手直ししてもらいながら。