新年を迎え、ゆっくりと休暇を楽しまれた方も多いと思います。

都内の美術館のこの時期のラインナップを見てみますと、上野のエリアの国立西洋美術館、上野の森美術館、東京都美術館では、ウィルヘルム・ハンマースホイ(12月8日終了)、レオナール・フジタ(1月18日まで)、フェルメール(12月14日終了)といった海外から借りた作品の展覧会が多く、横浜美術館もセザンヌ(1月25日まで)といった集客が見込まれる印象派や後期印象派の展覧会が行われていました。森美術館では「チャロー!インディア:インド美術の新時代」(3月15日まで)、東京都現代美術館では「ネオ・トロピカリア:ブラジルの創造力」(1月12日まで)などが行われており、日本の現代アーティストの作品を見られる展覧会は相変わらず少ない感じですね。

先日も、フランス人の友人から「村上や奈良以降の日本の若手の現代アーティストの作品が見たいんだけれど、美術館はどこ?」という質問があって、ハタと困ってしまいました。結局、その時に展示していたギャラリー数件を案内して、お茶を濁すことになりました。

パリのポンピドゥーセンター
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パリのポンピドゥーセンター

私達がパリやニューヨーク、ロンドンといった欧米の都会を訪ねる場合、必ず美術館訪問というのが当たり前に浮かんできます。もちろん世界に名だたたる名画・名作がありますが、その国で活躍する現代アーティストの作品を展示する美術館が必ずあるわけです(たとえば、パリのポンピドゥー・センター、ロンドンのテートモダン、ニューヨークのMoMAがそうですね)。

日本を訪れる外国の人々でも日本の美術や現代アートに関心のある方々は多く、まとまって見られる場所を作るニーズは非常に高いのです。日本人でも地方から東京に来る人にも、見たい人が多いのではないでしょうか。首都観光という観点から、ぜひ東京に日本の若手の現代アート作品が常設で見られる場所を作って欲しいものです。建物はそれこそ、倉庫を改装しただけで十分です。そこに若いアーティストの作品をコレクションして、面白い現代美術館を作ることは難しいことではありません。

ただ、全国的に見ると美術館の数だけは、日本は本当に多いのです。2002年のデータでは、博物館法に則った施設と博物館類似施設を合わせて、全国では5360館もあるのです。それらの多くはすべて70年代以降に出来たもの。純然たる美術館はそのうちの3割程度ですが、それでも1500以上。各都道府県の県庁所在地には必ず県立美術館がありますし、市や町も美術館を持っています。とはいっても、コレクションは印象派の作品数点と郷土出身のアーティストの作品をコレクションしているのが多数で、どこも似たりよったり。建築や内装も似ているせいか、どこの美術館だったか印象が薄いのが実情です。

ところが、21世紀に入ってから、少しづつですが美術館が変化し始めています。地方に意欲的な美術館が出てきているのです。その話は別途、「アートによる地域振興」というテーマで取り上る予定ですが、香川県のベネッセアートサイト直島、金沢21世紀美術館、青森の十和田市現代美術館などの美術館は、多くの外国人を含めて訪問者を作りだしています。

また、意欲的な美術館では併設されるレストランの内装がお洒落になり、ワインなどのアルコール類が飲めるようになりました。ミュージアムショップには、美術館オリジナルデザインのグッズが並べられたり、若いアーティスト達の作品集が置かれるようになって、観客の視点を考えた運営になってきています。

海外ではレストランやミュージアムショップは、ずいぶん前から定番となっていました。日本の美術館改革はおそらく50年遅れかもしれません。