健康な心身は、誰もが共通して望むもの。しかし、国の調査によれば、それを手に入れるための行動が取れている人は必ずしも多くない。きっと日々忙しいあなたにも、思い当たる節があるはずだ。

生活習慣病への不安が調査では第1位

「あなたは今、10満点でどれくらい幸せですか?」。こう聞かれたら、何点と答えるだろうか。そして、日本人の平均は何点くらいだと思うだろうか。

厚生労働省が発表した「健康意識に関する調査」(2014年)によれば、「とても幸せ」を10点、「とても不幸」を0点とした平均は6.38点だった。自身の実感と比べて、高いか、低いか……。

少し詳しく年齢別に見てみると、「20~39歳の男性」「40~64歳の男性」「20~39歳の女性」「40~64歳の女性」がいずれも各性別の平均以下。「65歳以上」は男女とも平均を上回っている。現役世代の方が、幸福度が低いという結果だ。

では、その幸福感を判断する際に重視した項目は何か。同調査によれば、トップが「健康状況」で54.6%(複数回答)。年齢・性別によって差はあるが、いずれも必ず第3位までには「健康状況」がランクインしている。

体に不調があれば、幸福感を感じることができない──。当たり前の話かもしれないが、一方で多くの人が健康に関する不安を抱えているのも事実だ。同じ調査に基づけば、「健康に関して何らかの不安がある」とした人の割合は男女・年齢を問わず、おおよそ6割程度。具体的なリスクとしては「生活習慣病を引き起こす生活習慣」を挙げる人が圧倒的に多く、全体の41.9%を占めている。

運動も栄養バランスも若い人ほど意識が低い

生活習慣病の予防といえば、適度な運動とバランスのよい食事──。繰り返し言われていることではあるが、自身を振り返ってきちんと実践できているだろうか。

まず運動について。その習慣のある人の割合は、男性で37.8%、女性で27.3%という調査結果(「平成27年 国民健康・栄養調査」)がある(※)。おおよそ6~7割の人は、運動習慣を持たないということだが、実はこの数字にはからくりがある。年代によって大きな差があるのだ。

図のとおり、男性では70歳以上が56.1%なのに対して、20代は17.1%。8割以上が日常的に運動をしていないのだ。女性もこの傾向は変わらず、その割合はいっそう低い。若い層が普段なかなか運動ができないのには、日々の忙しさ、体力への自信といった理由もあるだろう。しかし、生活習慣病の予防という観点から見れば、働き盛りの人たちの意識は低いと言わざるを得ない。

そしてそれは、食事についても同様だ。「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上食べている人」の割合がやはり若い世代ほど低い傾向がある。20~40代の男性についていえば、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上食べている日が「ほとんどない」という人が2割近くを占める。こうした人たちの炭水化物、タンパク質、野菜などの栄養摂取は総じて基準を満たしていない。

適度な運動とバランスのよい食事。その重要性は誰もが知るところだが、頭で理解していても行動が伴わない。これが現役世代の実情だ。確かに慌ただしい毎日の中で、健康管理のために割ける時間は限られている。とはいえ、現在日本人の死因の6割ほどが生活習慣病である。無策は自分の身に降りかかってくることを認識しておくべきだろう。

忙しい人が手軽に取り入れられる商品も

生活習慣病に加え、日本人の健康を考えるとき、最近よく話題に上る言葉がある。「低栄養」だ。一般に、健康な体を維持するために必要なエネルギーやタンパク質が不足している状態のことを指す。高齢者の場合は、消化機能の低下などによって栄養や水分をうまく体内に取り込めなくなり、低栄養になりやすいとされる。

低栄養が怖いのは、それがさまざまなリスクを高めるからだ。体力や筋肉量の低下はもちろん、免疫力の低下、さらには認知機能の低下なども指摘されている。こうした心身の活力の衰えが、外出するのをおっくうにし、閉じこもりや寝たきりにもつながっていくとして、国も本格的に対策に乗り出している状況だ。

高齢化社会との関連で語られることが多い低栄養だが、現役世代も無関係というわけでもない。消化機能の低下は若い人にも起こり得るし、ダイエットによって栄養不良に陥る人も少なくない。また肥満気味であっても、「かくれ低栄養」の場合があるという。脂質過多の食生活で体格はよいが、実はタンパク質などの栄養素が不足しているケースだ。

いずれにしても、対応策はバランスのよい食事ということになる。今は、忙しい中でも手軽に栄養を補給したり、そのバランスを調整したりできる商品も増えてきた。自分に適したものを見つけて、生活に取り入れていくといいだろう。

さて、あなたの幸福度は10点満点で何点だろうか──。これから、それを1点、2点と上げていけるのは、ほかでもない自分自身である。健康の維持、向上については、日々の地道な努力に勝るものなし。今日からでも、何か新しい取り組みを始めてみてはどうだろうか。

※「運動習慣のある者」とは、1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している者。