企画書が売りものであり武器だという女性役員、一日に何十もの決裁文書に目を通す経営者……。彼らが評価する資料の基準とは?
H.I.S. 代表取締役会長兼社長 澤田秀雄●1951年大阪府生まれ。80年に旅行会社(現・エイチ・アイ・エス)創業。2010年には赤字続きだったハウステンボスの社長に就任し、1年で黒字転換させた。エイチ・アイ・エス会長、澤田ホールディングス社長などを務める。

ビジネスに大切なのは、正しい判断をしようとすることではなく、素早く判断すること。1カ月かけて判断するよりも、1日で判断し、間違えたら3日目にやり直すくらいのほうがいいんです。だから資料も、迅速に判断できるように書かれるべきです。

私は旅行からホテル、金融や証券など、さまざまな業種の多くの会社の経営を見ています。このため普段から1日に何十もの決裁文書を見ますし、社長を務めるハウステンボスのイベント企画書、社外からの提案書などにも目を通します。重要なものは時間をかけて読み込むこともありますが、通常は判断に時間をかけられません。

ですから私が資料で重視するのは、「わかりやすさ」と、「イメージがわくか」です。まず「わかりやすさ」とは、判断するための3つの要素、「内容」、「予算」、「期間」が明確かつシンプルに表現されていること。要点が1~2ページにまとまっているのが理想です。

3つの要素のうち、特に「内容」については、読んですぐにイメージがわくかどうかが重要です。イベントや観光地でも、タイトルや説明を聞いてすぐにイメージがふくらむものでないと、人は足を運びません。抽象的なもの、わかりにくいものには関心を持ちません。文章であれば、読んですぐに状況が思い浮かぶような表現がいい。場合によっては、センスの良い写真や映像を使うのも効果的です。

たとえば2015年夏にハウステンボスのプールに設置した、全長約180mのウォータースライダー「ウォーターロングスライダー」は、社員からの提案を採用し、成功したものの一つ。同年の1月ごろに資料を見て「これはいける」と直感しました。日本一長いので話題性があるし、大人も子どもも楽しめる。楽しそうな写真や映像を盛り込んだ提案書で、すぐにイメージがわきました。また、予算も低かった。即断即決でした。結果、2カ月間で延べ10万人以上が利用する、大ヒットになりました。

必要な3要素さえわかりやすくまとめられていれば、判断できます。そして、いいと思えば多少足りない情報があっても、本人を呼んで直接聞いたり、資料を作り直してもらったりもできます。必ずしも時間と手間をかけて、長い資料を作る必要はないのです。

▼良い資料の条件
1. 即断即決ができる
2. 内容、予算、期間が明確
3. イメージがふくらむ


上司や経営陣が迅速な判断をするために、資料には過不足なく判断材料が盛り込まれていること、中身がイメージで伝わることが大切。