中国やロシア、ブラジルと成長著しい新興国経済がもて囃されていたのも、数年前。インドこそ今でも高成長を維持するが、多くの国にかつての勢いはない。なかでも専門家が「危険」と口を揃えるのが、トルコ。第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストはこう話す。

「隣国シリアからの難民の大量流入、クルド人による独立運動などによる治安悪化が続くなか、昨年のクーデター未遂事件後エルドアン政権は強権姿勢を強めています。ただし、輸出の半分を占めるEUとは政治手法をめぐって関係が悪化するなど不安要素は盛りだくさんです」

さらに590億ドルに上る対外債務残高の一方で約930億ドルにすぎない外貨準備高と、経済は構造的な脆弱さも抱えている。

「万が一、トルコがデフォルト(債務不履行)に陥れば、他の新興国にも波及します。そうなれば、成長戦略の柱の1つである『インフラ輸出』の障壁にもなりかねません」

インフラ輸出の主要ターゲットは膨大な新規需要を抱える新興国。だが各国間の競争も激しく、インドネシアの高速鉄道は中国に受注を奪われるなど、日本は後れを取る場面も。「ヤバい」トルコ経済の行く末は日本の成長戦略のあり方にも影響を及ぼしかねず、他人事ではない。