問題があったときには何が問題なのか、仮説を立てて分析していく形で進めていきます。どちらかというとインターネットやデジタルの詳しい知識よりも問題発見のスキルを高めることを私たちは重視しています。

問題発見のためにも仕事はできるだけ細かくパーツにして、小さいきめ細かなPDCAを積み重ねることで大きなPDCAにする。一個一個は少ない改善率、たとえば20%アップぐらいの改善項目でも、それを積み重ねていくことで売り上げが2倍になったとか、3倍になったという実績が出てきます。

売り上げだけではなく、たとえば多くの工程があるものを短縮したり、費用がかかっているものをIT化することでコスト削減したり、ユーザーの申し込み率を上げるような工夫をして、より効率的に収益を上げられる仕組みをクライアントと一緒に考えます。

ですから、仕事の内容自体はITというよりも、むしろ、どうしたら物が売れるかを考えている営業マンです。「クライアントの商品を一番売れる人になりたい」という自負はありますね。結果的にそのツールがウェブサイトというだけかもしれません。現実の対面でのコミュニケーションをどれだけインターネットの世界で実現するか。スピードや、手間がかかってできないことも、ITの技術を使えばできることがあります。それをうまく活用しながらクライアントの顧客の満足度を上げることに重点を置いています。

多様性のなかから自由な発想は生まれる

――ウェブコンサルタントというと「こんな新しい仕掛けでユーザーを驚かせましょう。売れますよ」と営業をかけているようなイメージがあります。
ペンシル代表取締役社長COOの倉橋美佳さん

「私たちにまかせてくれれば、商品、絶対売れます」と言って売れなければ関係は長くは続きません。やはり長くおつきあいしたいので、「この商品はウェブでは売れない」とも言いますし、売れなかったときはなぜ売れなかったのか、なぜユーザーは買わなかったのか、そういった情報を細かく分析してフィードバックできるのもインターネットのよさです。そこで製品を改善して、次の販売方法を一緒に考えるとか、そうしていると関係も続いていくと思います。長いクライアントだと15年間くらい契約をしていただいていますね。

こちらから提案をすることもありますが、まずは商品自体が大事で、私たちマーケティング側が支援できることは本当に一部です。できるのは一緒に売れる方法を考え、より魅力的に見せるお手伝い。作り手側と一緒になってやっていくことですね、大事なのは。

――ペンシルは「LGBT」への取り組みを進めており、「PRIDE指標」ではゴールド認定を受けました。ウェブサイトをみると、アクティブシニアや外国人、障がい者の採用にも力を入れているようですね。

ウェブサイトのトップページもそれぞれの人に最適化された情報を提供するようになってきました。こうなるとやはり画一的に働いている人たちばかりだと、自由な発想は生まれてこないと思いまして。

たとえばシニアの方々はこのウェブサイトをどういうふうに使うだろうと思ったときに、構築したウェブサイトをうちのアクティブシニアの方に実際に見て使ってもらう。すると文字が小さすぎるだとか、横文字が多いだとか、私たちが当たり前だと思って作ったものがシニアの方々からすると使いにくい、改善すべきことが発見できるのです。

女性の場合だとライフステージによって働き方は大きく変わってきます。でも、それに会社が適応していくというのは、私たちのコンサルティングにも活かせる内容のはずです。

いろんな人たちを雇用して、考え方や発想や意見をフィードバックしていく。そこでノウハウが積み重なっていくという形ですね。多様な人材の採用や、自由に発想できる環境を作っていくことで社内も活性化しますし、それが最終的にクライアントへのよりよいサービスに繋がるようにしたいと思っています。