オックスフォード大学大学院で修士号を取得、ほかにも英国有名校のMBAを持ち、数々の外資系企業で重職を歴任――。そんな山田美樹さんが、自身の仕事術を『外資系で学んだすごい働き方』(プレジデント社)にまとめました。その内容はずばり「すぐに役立つ」仕事術。今回は著書から「英語の学び方」について紹介します。

職場はビジネス英語のお手本の宝庫だ!

英語の教材として一番おすすめなのは、仕事の現場で使われている英語を使うことです。

大学を出たての新入社員が社会人としての言葉遣いに戸惑うように、英語でも、ビジネスパーソンにはビジネスパーソンとしての英語表現があります。

私もオックスフォード大学大学院を卒業後に就職した会社でまず叱られたのは、「電子メールの文章がだらだら長い。ビジネスメールは研究論文ではない」ということでした。

アカデミックな論文を書ける英語力はありましたが、ビジネスの英語ではなかったのです。

「ビジネスで使う英語ってどんな表現なのだろうか?」と悩みました。

とりあえずは周囲の人の真似をするしかない。そこで毎日、毎日、大量に送信される英文メールをチェックしました。

中にはだらだら書いている人もいて、「これは真似してはいけない例だな」と判断し、簡潔に論理的に、箇条書きで構造をまとめた電子メールを書く人を選んで、お手本としました。

最初は「写経」です。お手本の英文を一言一句真似して書き写しました。そうすると、簡潔な英文のフォーマットがだんだん身体に入ってくるのです。

まずは「お手本」の英文をもとにしたテンプレートを作って、個別な内容だけ入れ替えて書くようにしました。日程調整のメール、お願いをする際のメール、説明をする際のメールなど、テンプレートのバリエーションをいくつかそろえると、ゼロから自分で書くわけではないので業務も支障なく進めることができました。

その後、少しずつ自分らしい表現にカスタマイズして、インストール(パソコンにソフトウェアを入れて使用可能な状態にするように、自分自身に新しい情報を流し入れること)を終了しました。ビジネスでの電子メールはひと通り書けるようになりました。

このように英語を使っているオフィスには、ビジネスで使う英語のお手本がたくさんあります。

電子メールだけではなく、部署内で配られる英文資料などもすべてお手本。英語のできる日本人社員や海外のカウンターパートも貴重なお手本です。レポートの書き方、会議や打ち合わせでの発言の仕方、提案の仕方、反対意見の言い方など、参考になる表現を見つけたらどんどんインストールしましょう。

とにかく実際に仕事の現場で使われているという点が重要です。いま必要な英語表現、仕事で求められている英語表現だからです。どんな状況で発言しているのか文脈もわかるので、真似しやすい。

上司、同僚、海外のカウンターパートのメンバーの英語に耳をすまして、そこからお手本を見つけてはどんどん学んでいきましょう。