いい恩師に出会えるか出会えないか。それにより人生は大きく左右される。では、わが子の「担任」はどうか。同業者が尊敬してやまない“最高”の教師像とはどんなものか?  

優れた教師は子どもの叱り方が違う

はじめに。

いきなりテーマと真逆のことを言うようですが、絶対的な「いい教師」と「悪い教師」というのは、存在しません。学級においては、教師の存在を2元論的に語れるものではないのです。

つまり、ある子にとって「最高」の先生は、同じ学級の他の子どもにとって「最悪」ということがあるのです。

たとえば、体育会系の運動大好き、超熱血が担任になったとします。担任になった4月早々「12月の縄跳び大会に向けて毎日朝練をやるぞ!」と子どもたちに宣言したとします。運動が大好きで勝負好き、縄跳び大会では絶対優勝したいと思っているA君には、最高の担任です。しかし、勝負事が苦手で、朝のゆったり読書が大好きなBさんにとっては、悪夢の日々の始まりです。

これは極端な例ですが、現実の教室では、これに近いシチュエーションがしばしば起きています。特に、中学校の部活動では、親からの評判においてこの傾向が顕著に見られます。

我が子を「強くしてほしい」と願う親と「運動好きになる機会になればいい」と思っている親では、同じ顧問に対する評価が180度変わるのです。だから、絶対的にいい・悪いを決められないのです。

この考えを前提にした上で、それでも「これが当てはまったら、まずまずいい教師である可能性が高い」という特徴を、教師の視点で3つ紹介します。これを逆にすれば、「悪い」の特徴にもなります。では、1つずつ見ていきましょう。

【いい教師の特徴その1:いい教師は、子どもの長所を見る】

学校に来るのは「子ども」です。様々なできないことや知らないことがあるからこそ、学びにくるのです。当然望ましくない性質もいっぱい持っています。

教師は大抵が真面目なので、できないことを正そうと丁寧に教えますが、子どもはなかなか正そうとしません。いや、正確には正せないのですが、教えている側には「正そうとしない」ように見えるのです。そこで、つい言ってしまいがちなのが、この必殺フレーズです。

「何度言ったらわかるの」