▼笑いの基本構造8

8つの基本構造の特徴と効果を知っておけば、笑いのネタに困ることはない!

1. ボケ
漫才などでよく使われる言葉ですね。とぼけた受け答えをすることで、話の中におもしろみをつくり出します。日常会話の中でも、こちらがボケた瞬間、相手はかなりの確率ですぐに間違いに気付き、訂正(ツッコミ)を入れてきます。すると、自然に笑いのキャッチボールが成り立つというわけ。

2. 勘違い
「GLAY(ロックバンド)のベスト(アルバム)が欲しい」と言う相手に、本気で「灰色のチョッキ」を贈ったら笑える話に。勘違いしたフリでも、本気で勘違いしていたとしても、勘違いしたまま話が進むと、話がかみ合わないおもしろさが生まれます。勘違いされたプレゼントを受け取る本人は笑えないでしょうが。

3. 誇張法
物事を過度に大きく、または小さく形容する表現方法のこと。例えば、怖い上司を「鬼上司」と言ったりするのもそのひとつ。この笑いは、極端に誇張すればするほど笑いを誘いやすくなります。「ボーナスいくらもらったの?」「5億」というように、言いづらいことを言わなければいけない場面でも重宝します。

4. 反復
ギャグやボケを繰り返し使うことで笑いを誘います。以前、お笑いコンビのタカアンドトシがネタにしていた「欧米か!」もそのひとつ。言葉だけでなく、動作や身振り手振りを繰り返したり、短時間のうちに何度も使ったり、時間をあけて使ったり、笑いのポイントはさまざまな場所に隠れていますよ。

5. ダジャレ
親父ギャグとも呼ばれる定番ギャグ。若い方は何が楽しいのか理解できないかもしれませんが、50代以上の方は、脳が親父ギャグを欲するのだそう。上司や取引先の担当者が50代以上なら、自分から率先してダジャレを言う、またはダジャレに楽しく反応してあげると喜ばれます。

6. のっかり・スカシ
相手が変なことを言ったとき、「……じゃ、次行きましょう!」というように、ボケを無視したり、「私、宇宙人なんです」というボケに対して、「そうなんだ」と、あえてツッコまなかったりして笑いにつなげます。ただし、間や声の調子でユーモアだとわかるようにしないと、ツンケンした人だと思われるので注意。

7. 時事ネタ
その時々の社会的な出来事を日常会話に盛り込むことで笑いをつくり出すテクニック。社会的な出来事なら、共通の話題がない相手との会話でも、共通の情報・知識として話ができるので、安心して会話に組み込むことができます。ただし、時事ネタには賞味期限があり、古いネタは笑いを取りにくいので注意して。

8. 差別・自虐ネタ
簡単にいえば、相手、もしくは自分をバカにすることで笑いを取るテクニック。差別は、一歩間違えればいじめになるので使い方には十分注意を。自虐ネタも自分のことをネタにするからいいわけではありません。自分のことを笑わせるというのは、相手との信頼関係がないと成り立ちません。

池澤亮太
浅井企画所属放送作家。システムエンジニアとして勤務後、放送作家に転身。若手放送作家を育成する浅井企画メディアスクールやタレントスクール講師など、多岐にわたって活動中。『プロ直伝 笑いの技術』(講談社)など著書多数。
 

構成=江藤誌惠