2代目が韓国でヒット

2015年に発売した2代目LG stylerは、ターゲットを明確にシフトしたこと、時代背景が追いついたこと、そして黄砂やPM2.5対策家電ブームという3つの要因により、2016年には韓国国内でヒット商品となった。2代目の販売目標は年間12万台だが、コンスタントに毎月1万台以上売れている。初代からの累計販売数は15万台を超えた。

「2代目モデルには以下のコースが用意されています。ベースとなるのが、スーツやジャケットのニオイやシワを取る『リフレッシュコース』、身体に害を及ぼすような花粉やアレルゲンなども除去する『除菌プラスコース』、カシミアや100%ウールといったデリケートな素材の衣服、あるいは濡れてしまったスキーウェアなどを色落ちさせずに乾燥させる『上質乾燥コース』。ちょっとしたシワなどをきれいに取る『しわの除去&折り目ケア』ほか、Androidスマートフォン経由でファイルをダウンロードすることによって使えるようになる専用コースも用意されています」(キム・ホンシク氏)

LGエレクトロニクスは現在、すべての白物家電をIoT製品として開発しており、当然『LG styler』も例外ではない。だから革製品やシルクなどのおしゃれ着はもちろん、特殊な洗濯コースはスマホでもダウンロード可能だ。これによりユーザーたちのドライクリーニング回数も劇的に減ったという声も数多く届いているという。

LGエレクトロニクスの家電が一堂に揃っているBEST SHOP。韓国国内では、2台を接続して観音開きで使えるモデルも販売されている。

日本市場参入の勝算は?

韓国以外でLG stylerが買えるのは、アメリカ、カナダ、ロシア、ドイツ、オランダ、台湾、シンガポール、中国など(順不同)。2017年にはいよいよ日本でも販売が始まった。

イム・サンム氏。LGの白物家電全体を見ている最重要パーソンの一人。

LGエレクトロニクスは、LG stylerを日本の白物家電市場に本格的に参入するための起爆剤と捉えている。これまでも布団掃除機、コードレススティック掃除機、洗濯機など、いろいろな家電を送り出してきたが、それらとは明らかに違うと話すのは、H&A事業本部アプライアンスB2B部門部長のイム・サンム氏。

「すでに韓国国内の多くのユーザーから、一度『LG styler』を使ったら、それがない生活には戻れないという声をよく耳にします。日本にはまだこの市場はありませんから、我々が自ら市場を牽引し、ヒットさせてしまえば、多くの競合企業がクローゼット型ホームクリーニング機を出してくるはずなんです」(イム・サンム氏)

多くの一般家庭がサラリーマン世帯で男性が毎日スーツを着用していること、夫婦共働き世帯が増えて、家事に対して時間をあまり取れなくなっていること、子供たちが特に中学生高校生は制服を着用する場合が多いこと。これらは韓国でも日本でも共通のライフスタイルである。それらの問題を解決するのに『LG styler』は、他のどの家電よりも役立つものと韓国国内では証明され、すでにヒットしていることからも発言の信憑性が高まる。

「日本ではすでに発表している通り、蔦屋家電でBtoB向け、BtoC向けとも販売していきます。その後、一般量販店でもあるヨドバシカメラやビックカメラにも販売網を広げていく予定となっています。数字については明確に言えませんが、とにかくポジティブに捉えています」(イム・サンム氏)

日本では2017年1月末に発売、年内の販売目標は2000台だという。しかし認知度がどんどん高まっていけば、いつか日本の世帯数約5000万世帯全てに販売できるはず、とイム・サンム氏は自信をのぞかせる。

「もちろん我々1社で5000万世帯全てに販売するなら、1年で50万世帯に売るとしても100年も掛かってしまいます。だから、多くの競合企業にもぜひこの市場に参入してほしいですね。10社あれば10年で販売でき、我々の製品も自然と後押しされるはず。韓国ではヒットさせるのに5~6年掛かってしまいましたが、この日本では当時のトライアンドエラーを繰り返さないので、きっと1~2年でヒット商品にできると予想しています」

冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどと並び、日本の家庭にも一家に一台、クローゼット型ホームクリーニング機『LG styler』が置かれる日も現実になるのだろうか? この1~2年の動向が見逃せない。

■次のページでは「LG styler」の企画書を紹介します。