月末の金曜日より月初の月曜日

さんざん文句を述べてきた。そこで、改めて論点を整理して、プレミアムフライデーの修正案を考えてみたい。

まず大前提として、個人消費喚起策と働き方改革は分けて考える必要がある。働き方改革を行う比率を最大化するなら、退社を早めるのは企業の忖度ではなく、法整備で対応すべきではないか。たとえば、労働時間の規制緩和。時間ではなく、成果で報酬が決まる労働制度が強化されていけば、自分の意思で早く仕事を切り上げることも可能になる。もちろん、逆の長時間労働を招く危険性もあるので、慎重な議論は必要だ。働き方改革を実現するため残業規制を強化する場合には、企業の負担が大きくなるので減税などで対処していくべきだ。

また個人消費喚起策のイベントを毎月設定するのは、経済界の意向としてはごく自然の発想である。しかし企業が儲かり、所得を引き上げなければ、その効果は極めて小さいものになってしまう。その中でも効果を最大化するためにはどうすればいいか。

サービス産業の活性化なら、月初の月曜日に早い時間帯の終業を促す「プレミアムファーストデー」を提言したい。月初は仕事も少なく、導入企業も増える。店側からすれば月曜日は人気が比較的少なく、収益化への寄与度も高い。そのほうが内需活性化、企業の収益アップに効果があるはずだ。

そして旅行・観光業界を盛り上げるのであれば、月初の月曜日は午後からの出社を認める「プレミアムレートデー」を実施する。プレミアムフライデーが続いて金曜日に旅行へ行くとしても、仕事を終えてから泊まれるような都市部近隣観光地の宿泊需要や、観光業界の土日の稼働率はもともと高く、これ以上は上がらない。しかし日曜日夜の稼働率は低いので、月曜日の午前中は休んでもいい、とすれば効果は高くなるだろう。両産業の底上げを狙うなら、ファーストデーとレートデーの隔月実施は有効かもしれない。

プレミアムフライデーの最大の問題点は、働き方改革を組み合わせたことで、消費喚起の輪郭がぼやけてしまったことだったと私は考える。アベノミクスの成果を焦るのではなく、しっかりと足元を見た改革にもう一度取り組むことから、成功は見えてくるはずだ。スタートは失敗だったとしても、軌道修正はまだ間に合うだろう。

(時事通信フォト=写真)
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