2017年5月12日(金)

世界7カ国「コーヒー豆の銘柄」味の違い

いい豆をつくる生産地の条件とは?

dancyu 2015年10月号

文・松浦達也 教える人:「山下コーヒー」代表取締役 山下雅彦、「堀口珈琲」執行役員 小野塚裕之
<教える人>
山下雅彦●創業90年となる老舗コーヒー卸「山下コーヒー」代表取締役。渋谷の「茶亭 羽當」など数々の名店からの信頼も厚い。
小野塚裕之●豆を輸入し、焙煎、販売、喫茶から開業コンサルティングまで行なうスペシャルティコーヒー専門店「堀口珈琲」執行役員。

豆の銘柄の違いは?

いい豆をつくる生産地の条件とは? この謎が解ければ、また一つおいしいコーヒーに近づけるはずだ。今回の識者2人に「いい豆の生育に適した条件」を聞くと、異口同音に「赤道直下」「高い標高」というキーワードが返ってきた。

山下さん曰く「赤道を挟む北緯25度と南緯25度の間はコーヒーを生育する最適エリア。『コーヒーベルト』と呼ばれていて、主要な生産国はすべてここに位置します」。

良質な豆の産地として評価が高いのは、標高の高い山が連なる東アフリカのエチオピアやケニア、南米のコロンビアといった国々。小野塚さんは「標高が高いと、果実がゆっくり熟すので、大粒で味のしっかりした豆になりやすいんです」と言う。

世界には粒揃いの豆がある。

(1)モカ ……果実感

ひとくくりに「モカ」と呼ばれるが、「コーヒー原産の地」 エチオピア産はフルーティー、「モカ」の語源となった港町があるイエメン産はスパイシーと、味わいの特徴は異なる。名曲『コーヒールンバ』で有名な「モカ・マタリ」はイエメン産のモカのこと。一般的には、酸味に言及されることが多いが、たとえばエチオピア産なら、熟したベリーのような香りもまたモカの真骨頂。たとえるなら“年齢を重ね、妖艶さに磨きをかけた名家の貴婦人”のよう。

(2)キリマンジャロ ……力強さ

最近では産地国名の「タンザニア」とも呼ばれるが、「キリマンジャロ」というとおいしそうに聴こえる不思議。

国土はほぼ赤道直下で、アフリカ大陸の中でも標高の高い山々が連なる。豆自体は酸味が強いので、深煎りにして重厚感やコクを押し出すと、力強いバランスに。味は、“チョー姿勢のいい筋骨隆々アスリート”のような佇まい。ちなみに、本物のキリマンジャロ(山)は豆の生育には標高が高く、キリマンジャロ(豆)は麓で育てられる。

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松浦 達也