そういえば、少子高齢化で
現役世代の人数が減っているって聞いたことある。
じいさんの会社が儲からないと、オレの売り上げにも響いちゃう!

 

あほたれが!

 

わ、スミヤン!

 

たしかに、今後もずっと働く人は減っていく。
だが、悲観することはないじゃろう。

 

デン!

労働力不足は悪いことばかりじゃないのだ。

 

なんでさ?

 

まず、労働者にとってはいいことじゃ。
人手不足になれば、アルバイトの時給が上がる。
正社員も引く手あまたで転職しやすくなるから
社員を大切にしない会社は衰退する。
ブラック企業も減るだろう。

 

まあ、働く人にとっては人手が余っているより、
足らない方がいいよね。

 

それに、経済には「神の見えざる手」が働くのじゃ。

 

見えざる手って?

 

近代経済学の父、アダム・スミス大先生が提唱した言葉だ。
マーケット(市場)では、
個人が利益を求めて勝手に行動すると
自動調節機能が働いて
結果的に全体の経済が発展するのだ。

 

みんなが自分勝手になってもいいってこと?

 

そうじゃ。
例えば、仕事探しを諦めていた
主婦や高齢者も仕事を探すようになるだろう。
そうなれば、人手不足が少しは和らぐはずだ。

 

企業や飲食店は、高い人件費をケチって
省力化投資を始めるだろう。

 

そうすれば、機械が売れるようになるね。

 

うむ。
そうやって、機械を作る会社は儲って人を雇うし、
機械を導入した会社や店も能率がよくなっていく。
結果として、日本経済全体の能率がよくなるのじゃ。

 

そっか。
マーケットにまかせておけば、
自然となんとかなるもんなんだな。
それが「見えざる手」ってことか。

 

新ちゃん、どこかにいい人、おらんか?

 

う~ん……。
あ! そうだ!
ねえ、ばあさん。

 

あんだい?

 

ばあさんの仲間、集めて来てよ。
雇ってあげるからさ。

 

いいのかい?
おーい、みんな~。
集合~!

 

あんだい?あんだい?

え!?
何このばあさんの大群!!!
新ちゃん、助かったよ!

 

これこそ「見えざる手」よ。
そして、ワシこそまさに「見えざる手」。
アダム・スミスに教えたのもワシなんじゃ。

 

嘘つけ!

 

自分勝手な行動が、結果的に全体の経済をよくするなんて
マーケットってうまくできているんだな。
人手不足も、日本経済全体の労働生産性を高める
チャンスになるかもしれないってことだね。

 
監修 塚崎公義
久留米大学商学部教授。1981年、東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。経済分析、経済予測などに従事し、2005年に退職して久留米大学へ。『なんだ、そうだったのか! 経済入門』など著書多数。