知らないままやっていた、というケースは多い

1や2のケースは、知らないままそうした行為を行っている飲食店も多いでしょう。お店に調査が入り、酒税法違反となると罰金などの処罰の対象になることがあるので、関係者は注意が必要です。

さて、今回は何度も「酒税」という言葉を使ってきました。お酒の扱いについて法律で色々定められているのは、健康や治安などに対する配慮ももちろんありますが、その売上が税金とつながっているからでもあります。

平成27年の日本の酒税収入は約1兆3000億円ですが、これは同年の国税収入約60兆円に対して、2.2パーセントを占めています。これを多いと見るか少ないと見るかは人それぞれでしょうが、比較をしてみると「関税(1兆1170億円)」より多く、「相続税(1兆7610億円)」より少ないという規模です。もっとも比較されるであろうたばこ税は約9000億円ですので、酒税はたばこ税よりも1.5倍程度多いことがわかります。

ちなみにビール1缶(350ml)あたりの酒税は77円。どこで買うかによって実売価格はかなり異なりますが、仮に1本200円とすれば、その中で酒税が占めるのは実に40パーセントに上ります。ビールをはじめお酒を飲む皆さんは「自分はこうやって日本のために納税しているんだ!」とプラスに解釈して(自分に言い聞かせて?)、日々のアルコールライフを楽しむのがいいかもしれませんね。

子安大輔(こやす・だいすけ)
カゲン取締役、飲食プロデューサー。1976年生まれ、神奈川県出身。99年東京大学経済学部を卒業後、博報堂入社。食品や飲料、金融などのマーケティング戦略立案に携わる。2003年に飲食業界に転身し、中村悌二氏と共同でカゲンを設立。飲食店や商業施設のプロデュースやコンサルティングを中心に、食に関する企画業務を広く手がけている。著書に、『「お通し」はなぜ必ず出るのか』『ラー油とハイボール』。株式会社カゲン(http://www.kagen.biz/
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