時間がない=優先事項ではない

時間はないはずなのに、水道が故障して水が止まらなくなれば、どうやってでも時間を作り、直してもらってから会社に行く。「忙しくて掃除機をかけている時間がない」とき、「掃除機をかけたら100万円もらえる」となったら、すぐに掃除を始めはしないだろうか。つまり、問題は時間ではなく、優先事項であり、自分の選択によるところが大きい。

時間管理のエキスパート、ローラ・ヴァンダーカムは、「時間がない=優先事項ではない」と解釈するといいとしている。そして、「仕事・人間関係・自分」の3つにカテゴリ分けをして、2、3ずつ“優先事項”をリストアップすることを勧めている。

そして長期的には、1年の終わりに今年挙げた成果を見て、そのためにやったこと、効果があったことを見返すイメージ作業をあらかじめやってみるといい。「未来から振り返るように、今に必要なことを見極める」というわけだ。これで、今からすべき大切なことが見えてくるという。

エキスパートに学ぶ、上手な時間管理の方法

たとえば、こんな風にしてみるのはどうだろう。

<未来の成果から、今すべきことを導き出す>
1.今年の年末の自分を想定してみる。
2.今やっていること、やろうとしていることが、成功したと仮定。(成功の仮定)
3.自分がやったこと、効果があったことを、3~5あげてみる。(成功への手順)
4.“やったこと”“効果があったこと”を優先事項に書きだす。(優先事項の見極め)
5.優先事項をこなす=自分がやるべき大切なこと=ビンに最初にいれる石ころ。(優先事項の実行)

例えば、「プレゼンを通過させる」という目標を立てたとしたら、まずは、年末にプレゼンが通ってプロジェクトが開始したイメージを思い浮かべる。そのためにやったのは、市場調査、プレゼンの練習を重ねる、チームメンバーとの話し合いの時間をとるetc……だった。その中で効果が高かったと思われることを今の優先事項に書きだして、一つずつこなしていく、といったことだ。

大切なこと(石ころ)を最初に見極めて書きだしたら、優先的にビンに入れるために、まずスケジュール帳に書き込む。それから次に砂利、砂、水……と、優先順位の低い予定を入れていく。こうすれば、大切なことに時間を取りながら、あらゆることを有意義にこなせるわけだ。

石ころを、最初に入れること。

すごく簡単なのに、案外おろそかにしがちなこと。シンプルながらとてつもなく有効な、人生の時間術だ。

【参考資料】Laura Vanderkam, How to gain control of your free time, TEDWomen 2016

【関連記事】
どこが違う?「経営者500人×平社員500人」の24時間比較
「お金」よりエンピツが盗まれやすい理由~人はどんなときに“ズルしてもいい”と思うのか
話をおもしろくするアナウンサー話術5
酒、タバコ、スマホ……「悪い習慣」をやめる簡単な方法
たった10分で発散! 劇的にストレスから解放され超生産的になれる瞑想術