国連が定めた国際幸福デーである3月20日。慶応義塾大学三田キャンパスにて「第1回shiawase2.0シンポジウム~シアワセな世界を創ろう~」が開催された。

「幸福学」の第一人者である慶應義塾大学大学院SDM研究科委員長の前野隆司教授が中心となり、各界で活躍する有志ボランティアたちが実行委員を結成し、準備運営されたこのイベント。「shiawase2.0」には、自身の幸せ(=shiawase1.0)だけでなく、世界の幸せ、ひいては次世代の地球や人類の幸せについて考えるといった想いが込められている。

SNSを中心とした告知のみにも関わらず、当日は1000名以上もの人が来場(申し込み総数1500名)。どの会場もしばし幸福な空気感に包まれた。なぜ今「幸せ」をテーマとしたシンポジウムが多く人の共感を呼んだのだろうか。

(左より)中村一浩氏、安倍昭恵氏、前野隆司教授(撮影=Shinji Steve Umeda/Office Solutions)。

「幸福とは何か?」を多角的に考える

本シンポジウムのメインコンテンツとなる「ハッピー対話マラソン」は、前野教授と「対話(ダイアローグ)」の専門家である中村一浩氏がホストとなり、ポジティブ心理学、マインドフルネス、コーチングなど、さまざまな切り口から幸福に対してアプローチするプロフェッショナルたちをゲストに迎え、対話し続けるという企画。その時間は実に10時間近くというかつてない挑戦だ。

ポイントは、「対談」ではなく、あくまでも「対話」という点。前述の中村氏によると対話とはその対象と心を通い合わせること。そして、その対象とは他者であり、自身の心であり、場という環境でもある。対話するときには気持ちを整え、耳を澄ませ、相手の言葉に聞き入るようなイメージを持つことが重要であり、後述のマインドフルネスの活動の一つであるマインドフルリスニングとも関係しているそうだ。

対話マラソンのトップバッターは、安倍昭恵首相夫人。テーマは「日本のこれから」という壮大なものだったが、安倍氏の多岐に渡る活動の意図や、夫である安倍首相の日常生活の1コマを話題にするなど、終始和やかな対話が続いた。なかでも印象的なのは「昭恵氏にとっての幸せとは?」という質問に対する答えだ。

「人には皆、神さまから与えられている使命があり、それぞれが自分にしかできないことをすればよいのです。私の使命はいろいろな人に会い、つないでいくことだと思っています。(中略)幸せとは、自分が幸せだと思えば幸せで、実際に今、こうしていられることも幸せです。常に平和は自分のなかにあり、まずは自分自身が平和にならなければなりません。どんな人であってもその人の“ひかり”の部分が少しずつ広がっていけばよいなと思います」(安倍昭恵氏)