一生働き続けられるための性善説でのルールづくり

「『やっていて満足感がある』というものを見つけ、実力を発揮できる環境で働けることが、結果的にキャリアを形成することにつながっていくんだと思います。好奇心を持ち続けられるよう、人生の中で生まれるリスクをヘッジするのは会社の役割です」と語るのは、代表取締役社長の山田進太郎さん。

代表取締役社長 山田進太郎さん「人生のダウンサイドこそ支えるべきだと思います」

これからの課題は、急増する社員同士が「All for One」の意識を共有していけるかどうかというところだが、「確かに、規模が拡大すれば社内コミュニケーションは取りにくくなりますが、メルカリの経営の基本は、バリューにひも付けて考えることと、自立したプロフェッショナルに向けた性善説での組織づくりにあります」と山田社長。

組織が巨大化するとリスクヘッジのため、硬直した複雑なルールやしくみが生まれ、より不穏な空気になりがちだが、性善説で動けば、組織の規模にかかわらず、良い空気が自然と伝わっていくのだという。

「意識の高いプロフェッショナルが揃えば、ルールは最小限で済みます。あとは個人の裁量に任せることができる。自由な空気は失われません。一流の人間が集まり、力を発揮し、同じ目標に向けて大胆に動く。そのためのしくみづくりを、大胆に進めていきます」(山田さん)

岡村隆広=撮影