「1年でのJ1復帰を目指す」。有無を言わさない“至上命令”を背負ってトヨタ自動車常務役員の小西工己氏が4月、名古屋グランパスエイトの新社長に就任した。日本のプロサッカーJリーグが誕生したのは1991年。名古屋グランパスは「オリジナル10」と呼ばれ、発足時から加盟する歴史ある名門クラブ。運営母体はトヨタで、会長には学生時代にグランドホッケー選手として活躍するなど、大のスポーツ好きの豊田章男社長が就任。だが、昨年はJ1の18チーム中16位という不甲斐ない成績で、創設以来初のJ2に降格した。主力選手が相次ぎ移籍するという危機的な状況下で悔し涙を流しながら「抜本的にやり直す」と宣言。そこで名門復活の“司令塔”として豊田社長の信頼が厚い小西氏に白羽の矢が立った。

名古屋グランパスエイト社長 小西工己氏(時事通信フォト=写真)

小西氏は東京外国語大卒業後、82年に工販合併直前の旧トヨタ自動車工業に入社。駆け出し時代から渉外・広報部門が長く、ワシントン駐在など海外勤務も経験。2013年には常務役員に就任し、渉外・広報本部副本部長や技術管理本部長などを歴任した。探求心旺盛なネアカ人間で人脈も広い。今季のJ2開幕戦は勝利を飾り幸先のいいスタートを切ったが、格下のJ2はメディアへの露出も少ない。だが、5月末には現役最年長50歳の三浦知良選手が所属する横浜FCとの話題の一戦が待ち受けている。サポーターとともにパワーを結集してスタジアムを熱狂の渦に包み込むことができるか。これも新社長の重要な役割だ。

 
名古屋グランパスエイト社長 小西工己(こにし・こうき)
1959年生まれ。東京外国語大学卒業後、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。常務役員などを経て4月に名古屋グランパス社長就任。