「時間を長く取るとムダ話が多くなる」

とはいえ、ダラダラ飲んで時間をムダにするようなことはない。「1日1席主義」。時間も18~21時の3時間以内と決めている。ひと晩に何席も掛け持ちする政治家も少なくないが、そうすると1席あたりの時間は30分ほどということもある。

「それでは相手に失礼だし、本音でじっくり話をすることはできないと思います」

21時で切り上げるのには理由がある。人生の3本柱の一つ、子育てのためだ。50歳で授かった一人息子(5歳)との時間を大切にしている。独身時代は2次会でカラオケに行き、午前様になることもたびたびだったが、「息子は夜の9時半~10時に寝るので、いまはその時間までに必ず帰ることを自分自身に厳命しています」。

夜の会食が18時スタートとすると、17時半には事務所を出なければならない。したがって、17時半から朝の仕事開始時間までさかのぼる形で、アポイントメントを入れていく。それも15~30分単位と小刻みに、すき間なく。野田さんは「レゴのブロックのように積んでいく感じです」と表現する。

15分というのは短い気もするが、「時間を長く取るとムダ話が多くなる」と理由を説明する。ここにも野田さん流の仕事の整理術が見てとれる。

取捨選択については、プライオリティーの重要性を指摘する。

「いまこの瞬間に一番大切な仕事は何かを決断し、それまで1位だった仕事を未練なく断ることも大事です。昔はそれができなくてグダグダになったけれども、いまは一点集中です」

先の自民党総裁選への挑戦(出馬断念)のときがそうだったと振り返る。

「あのときは、ちょうど後援会旅行が決まっていました。年1回、後援者の方々とふれ合い、意見交換ができる大切な機会で、時間をかけて企画され、私の年間の必須の仕事の一つになっています。総裁選への出馬準備がなければ、それがプライオリティー1位でしたが、潔く切りました。私は旅行に行けないので、ビデオレターをつくって届けました。大事な仕事が重なったときのリスクコントロールは上手になりました」

プライオリティーでいえば、自民党の各種委員会や部会も同様だ。かつて野田さんは多くの委員会や部会に出席していた。たいてい朝8時ごろから始まる。しかし、いまは人生の3本柱の一つ、子育てを優先する。「朝7時から8時は息子の食事等、母親としてのゴールデンタイムなので、部会には出ません」と言い切る。そのうえで次のように説明する。

「これには問題提起の意味もあります。特に女性の活躍推進の部会を朝8時にやるのはどういうことかと。女性の働きやすさを考えていると言いながら、ぜんぜん働きにくいじゃないかと。だからあえて出ません。私が心がけていることは、女性の活躍とか、女性の活用といったキャンペーンが行われている中、がんばるモデルではなく、誰でもできる働き方をしたいなと。国会議員は特に有給休暇もないし、産休も育休もない職場ですから、多くの女性に入ってもらうためには、ムリをしない働き方を自分で模索したいなと考えています。多少あつれきというか、男性からムッとされたとしても」