顧客には「時間軸と情報入手量受容軸」がある

では、今回取り上げたライフスタイル視点からの、これらの富裕層の時間軸傾向をビジネスマンはどのように参考にし、取り入れたらいいだろうか。

肝に銘じたいのは、富裕層ビジネスに関わっているいないにかかわらず、それぞれの顧客ターゲットにはおおよそ「時間軸と情報入手量受容軸」があるということではないだろうか。「あの課長さんには2週に1度」とか、「あの主任には3日連続で」など顧客の時間軸の特徴をうまくつかめばうまく進む商談があることをほとんどのビジネスマンは経験しているのではないだろうか。

「運が良かったね」で終了させる話でなく、そこから時間軸と情報入手量受容軸の関係を紐解いてみたらどうだろうか。このようなことは流行りのビッグデータに明るい読者であれば割と簡単に読み解けるターゲットもあるのではないだろうか。

他方、例えば富裕層向けにメール配信や会報誌を考える場合などにも最初の仮説として役立つはずだ。メール配信なら「月に1回、多くて2回にして、多くても3テーマくらいに絞り、内容はベタ記事のように短く」が理想形となる。いろいろ説明したい相手には、URLリンクをつければいい。これは20年前にはできなかったことで、こうしたきめ細かい対応も可能だ。

会報誌ならば月1回の頻度、ベタ記事3つくらいで構成する。要するに幼少のころあった回覧板のイメージだ。複数ページになってしまうのであれば頻度を落として冊子型でも大いに結構なことだと思う。長くする必要があるのであれば、「写真」や「絵」で表現する。ここがクリエイティブワークと呼ばれるもので、相手をびっくりさせるというよりはむしろ相手の時間軸と情報受容軸を忖度すること、これがクリエイティブの本質だと私は思う。

特に富裕層対象のビジネスを考えている読者には、当社の富裕層調査研究から生の言葉を最後に紹介したい。

「来なくていいよっていう時に来るんだよね~」
「ここであいつがいたらって時に連絡つかないんだよね~」

私自身、自らにも言い聞かせる言葉として覚えておきたい。

増渕達也
ルート・アンド・パートナーズ代表取締役。1992年東京大学卒業後、電通入社、2002年富裕層向け雑誌の草分けであるセブンシーズを発行する株式会社セブンシーズ・アンド・カンパニー代表取締役に就任。2006年富裕層向けライフスタイルマネジメントサービスを手掛けるルート・アンド・パートナーズ( http://www.rpartners.jp )設立、現在に至る。2013年にはシンガポールに進出。日本、アジアを中心に富裕層ビジネスを手掛け、富裕層マーケティングに関する造詣が深い。HighNetWorth Magazine編集長、富裕層ビジネス研修商品、富裕層マーケティング研究会、など多数の研修も主宰。