草月流家元
勅使河原 茜さん

1960年、第3代家元で映画監督の勅使河原宏の次女として東京で生まれる。4年間、幼稚園教諭として勤務後、85年草月会に入会し、2001年家元を継承。いけばなを通じて子供の感性を培うことを目指す「茜ジュニアクラス」を開講する一方、舞台美術、ジュエリーデザインなど多くの分野で活躍。
 

草月流は私で4代目になります。初代家元である祖父の蒼風は、型通りにいけるいけばなに疑問を持ち、華道家である父親と決別して草月流を創流した型破りな人。「建築が変われば空間が変わり、花も変わる。時代とともにいけばなも進化する。床の間だけで花をいけてはダメだ」というのは、創流当時からの教えです。2代目である叔母の霞は欧米にいけばなを発信し、3代目の父・宏は活躍の場を映画や舞台に広げました。歴代3代の家元が個性豊かな人たちでしたから、「私は何をやるべきなのか」と、当初は迷ったり悩んだり。16年という歳月を経て思うのは、経験こそが私の宝だということ。今では様々な体験を踏まえて、「これで大丈夫」と言える場面が増えてきました。

現在、世界に115の支部、スタディーグループがあります。2016年はインド、ベルギー、シンガポールに行ってきました。もちろん国内にも。徳島県に行ったときに伺ったのが「青柳」の本店。東京のお店は、知人に誘っていただき訪れました。空間が素晴らしく、落ち着けるのがいいですね。お料理はシンプル。素材を大切にされているのがわかります。以前、あるイベントで、ご主人の小山裕久さんが「嵐」の大野智さんに鯛のさばき方を教えてらした。私、嵐の大ファンなので、嵐の話でご主人と盛り上がりました(笑)。

もう一軒の「随園別館」は、子供が幼稚園の頃から通っているお店。子連れでママ友と行ったり、お母さんたちだけで行ったり。仕事が忙しいときに、リフレッシュのために行くこともあります。何を食べても美味しいですが、特に好きなのは水餃子。ぷるんぷるんの食感がたまらないんです。

お店に連れていった息子たちは、下が大学4年生になり、上の子は大学を卒業しました。私は家元を継ぐ前に、幼稚園教諭として4年間勤めたことが今とても役に立っているので、彼らにもやりたいことをやってもらいたい。うちはそういう教育方針なんです。私も自由に育てられて、すごく助かった。ですから2人にも社会勉強をして経験を積んで、客観的に草月流を見られるようになってから、今後を決めればいいと思っています。

草月流は2017年に、90周年を迎えます。いけばなは日本の伝統文化でありながら、ハードルが高いというイメージがある。これから100周年に向けて、いけばなのよさをどうやって伝えていくか。それが今の私の課題です。