注目の日米首脳会談で、トランプ大統領は為替問題を持ち出さなかった。日本が円安誘導をしていると批判していただけに、この会談結果に、日本国内では円安ドル高基調が続くとの観測も多い。ところが、これに疑問を投げかけるのが、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの土田陽介研究員だ。

さらに円高へと押し上げる要素が欧州での政治不安のリスクだ。「中期的には円高ドル安方向です。為替相場には、円安の後には円高になる『中心回帰性』があり、今まで円安に振れすぎていました。トランプ政権の経済政策で米国景気が上向くとされていますが、漠然とした期待にすぎません。FRBが追加利上げに踏み切ったとしても、2~3回が限度です」

「今年は欧州での大型選挙が相次ぎます。特に4~5月のフランス大統領選挙では、EU離脱を主張する極右政党のルペン氏が有力候補であり、注目が集まります。英国に続けと反EUの流れが強まると、ユーロが売られ、安定通貨とされる円を買う動きがドンドン進むでしょう」(土田氏)

土田氏が見る落ち着きどころは、1ドル90~100円。漠然とした円安期待論に固執するのではなく、十分な備えが必要となりそうだ。

(大橋昭一=図版作成)
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