出身大学を頭に入れておくことも大切です。メガバンクで多いのは東京大学や一橋大学、京都大学といった大学の出身者です。しかし、なかには地方の国立大学の出身者もいます。そうした人は、自分と同じ大学の出身者を側近として重用するケースがありました。銀行内では、誰が味方で誰が敵か、なかなかわかりません。出身大学がひとつの「寄る辺」になっていたのかもしれません。

もしかすると、「とにかく下手に出ていればいいんだな」と思われたかもしれませんが、そういうわけにはいきません。卑下しすぎると、甘くみられてしまうからです。「あいつはいい加減に扱ってもよい」となれば、銀行員にとっては致命傷です。なぜなら銀行員にとっては“人の評価”がすべてです。銀行員は手に職を持っていません。だから「減点主義」なのです。

銀行は融資を行う機関です。そのため企業に対して「ここに貸しても大丈夫か」という減点主義でチェックします。これは行内の人事評価でも同じです。1回でもバツがつけば、出世の道は閉ざされます。だから悪目立ちをしないほうがいいのです。

当時ほどではないにせよ、現在の日本企業にも、大なり小なり特有のマナーや作法が存在すると思います。ただ、あまり気にしないで、自由闊達にやってほしいと思います。社内の過度な忖度が、経営に悪影響を及ぼした企業は少なくないからです。

私は頭取にはなれませんでしたが、取締役になったのは同期トップでした。守ったルールは入行年次ぐらいです。銀行の頭取を目指さないのであれば、その他のマナーはたいした問題ではないはずですよ。

元住友銀行取締役 國重惇史(くにしげ・あつし)
1945年、山口県生まれ。68年東京大学経済学部卒業。同年住友銀行(現・三井住友銀行)入行。渋谷東口支店長、本店営業第一部長、丸の内支店長を歴任。94年に同期トップで取締役に。97年住友キャピタル証券副社長。その後、楽天証券会長、楽天副会長などを歴任。現在はシーアンドイー会長。著書『住友銀行秘史』は10万部を超えるベストセラーになっている。
(構成=呉 承鎬 撮影=門間新弥)
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