「事実」をだらだら並べる話し下手

さあ、いよいよオリジナル漫才作りだ。ざっと3分くらい。一大事業だと案じていた朝方とうって変わって「何とかなるやろ」と、なぜか関西弁で思えてくるから不思議である。

ここで、漫才の基本構成のおさらい。5つのブロックを押さえることだ。

<漫才の基本構成>

(1)自己紹介
▼笑いに活かせるキャラクター、コンビの関係性を早めに紹介

早めに「ツカミ」のひと笑いを入れておくのも有効

(2)ネタのテーマ・フリ
▼「どんなテーマについて、何を話したいのか」を伝える

テーマが不明確→予想しにくい→笑いづらい

(3)テーマを受けて話を進行する
(2)を受けて話を進める。理解しやすくスムーズな流れで


(4)ネタのヤマ場~爆発!
▼お笑いのネタは「右肩上がり」が基本 ~後半に向け笑いを増やす

・強いボケ
・テンポアップ
・テンションを上げる
・動きや表情を激しく etc.

(5)オチ
▼「オチ=結論を出す」だけでは足りない。「結論を出して(まとめて)、さらに裏切る」

・話のテーマ「そもそも」をひっくり返す
・最後のブロックをまとめる
・ネタの途中で出た笑いをフリに使い、オチをつくるorネタの本編の中にオチに使えるフリを入れてお

やはり漫才はテーマ(ネタ)が最重要。フリを明示する。

まず、「この話をしますよ」と明確に客に伝える。客を大船に乗せる配慮、思いやりである。これは「話し方」にも通底する。おしゃべりの下手な人は事実をだらだら並べるばかりでテーマがない。つまりは聞き手への思いやりがないってことだ。

もちろんコンビがお互い話しやすいテーマで、それが漫才タイトルになるのがベター。模範の「ハンバーガー・ショップ」もそうだった。

客にとって興味があり、共感を得やすいテーマ(つまりフリ)。わがデマ・サプは「言葉」をテーマに据えた。商売柄関わりが深いし、何せ全人類共通だ。ゼロ金利だのアベノミクスだのと限定されたテーマより括りが大きい(と、自画自賛)。

「テーマが決まり、いいネタの流れが浮かんでも、すぐに台本を書かないこと。思いついたことをどんどん書き出していきましょう」(杉本氏)

すぐに台本に着手すると、一度書き記したことにしがみつきがちだ。もっともっと面白いネタがあるかも――と思考を止めないことが大切だ。

実際にやってみては書き直す……の繰り返しで、即席のオリジナル台本を練りに練った。

「限界までアイデアを出し合って、結局それらが面白くないなら、そのテーマは捨てます。しがみつかないことです」(同)

笑いの肝は潔さにあり。デマ・サプは頭を絞った。「流行語」「政治家の問題発言」「言葉の意味が本来と真逆(“ヤバイ”が肯定の意味で使われるetc.)」と、思いつくままに書き出していく。会話も弾んでくる。

「そういえば、プレジデント誌の特集タイトル、読者の眼と気を引くものを付けるのは大変でしょう」といえば、「本や雑誌のタイトルに着目したら」と新たな発想が芽生える。

そして小1時間。テーマは「売れる本のタイトル」に決まった。

ベストセラー本が出ると、すぐに似たようなタイトルが本屋の棚を埋める。たとえば、少し前に売れた『○○力』『~する力』。あるいは『なぜ~は~なのか』。昨今では『日本人の9割は~』ってやつ。あったあったありました。何が何だかわからないくらいに類書が出てましたっけ。ちなみに『激怒力』という新書を企画してボツにされて怒っていたライター仲間もいた。

「売れる本のタイトル」。デマ・サプにぴったりのテーマだ。役割も自然と決まってくる。新作を持ち込む作家が私で、「売れるタイトル、何かないかなあ」と編集者に相談する。「ああ、あのパターンの本か」と、誰もが聞いたことのあるものだからフリはOK。あとはオチの切れ味だ。