アメリカ人は1日平均5時間もネットに費やしている――トランプ大統領と主要メディアの対立が深まるばかりのアメリカのメディア事情とは?
(写真=ロイター/アフロ)

今、問われるメディアの在り方とグランドデザイン

主要メディアの報道をフェイクニュースであると決め付け、対立を先鋭化させるトランプ大統領。それに対してトランプの発言こそが事実ではないと批判を続ける主要メディア。米国では、トランプ大統領を支持するか否かによって、有権者のみならずメディアやさまざまなものが分断を深めている。

筆者は、2017年2月11日から2月26日までの16日間、米国出張を行った。シカゴから入り、後半はワシントンDC入りし、トランプ大統領やペンス副大統領等も演説を行った保守政治活動集会(CPAC、共和党支持母体最大の年次総会)にも戦略分析のリサーチを目的として参加した。

トランプ大統領と主要メディアとの対決については、「どちらが正しいのか」とか「どちらがより支持を集めているのか」が、米国内外で焦点となっているようだ。もっとも、今回筆者が思ったのは、問われているのはそのような表層的なものだけではなく、メディアの在り方そのものではないかということだ。

政治・経済・社会・技術などが急速に変化しているなかで、民主主義の根幹を担う報道の自由や知る権利自体もその在り方が問われているのではないか。それがトランプ大統領と主要メディアとの対立先鋭化の根底にあるのではないか。そのように思ったのだ。

そのような問題意識をもとに、トランプ政権を巡るメディアの状況を通じて、今まさに問われているメディアの在り方やグランドデザインについて考察していきたい。