2017年3月17日(金)

焼き鳥は、串から外しちゃダメですか?

dancyu 2015年7月号

文・西澤千央

美女たちが突きつける焼鳥界騒然の難問

「焼鳥を串から外すやつとは一緒に飲みたくない」

酒場ツウを自任する人にこのタイプは多い。彼らのマッチョ酒場思想からすると「串から外すやつ=軟弱」と分類されてしまうらしい。実際に串から外して食べると主人に睨まれる老舗焼鳥屋もある、なんて話も聞く。飲み会にて何気なくそんな話をしていたところ「女性は結構な確率で外してますよね」と男性編集S。「だって串に食らいつく女の人って歯がムキ出しで、オニババ感が出ちゃうじゃないですか」。

筆者、今まさにねぎまのセカンドねぎを食いちぎり中。

「あ、でも、個性ですよね個性」

オニババの個性などいらんわ!! まぁ確かに美女が串に食らいつく姿は想像しづらいかも。しかし言うほど巷の女性たちは串から外してんの?

半信半疑の筆者に「広尾とか恵比寿の焼鳥屋さんにいる美女は絶対に串から外してます」と譲らないS。じゃあ行こうじゃないのさ。と半ばノリだけで、われわれは恵比寿に向かった――。

「キホン、外しますよねー」

ワイングラスを傾けて笑う会社員Aさん(25歳くらい?)。若さ&鳥コラーゲンで肌ぷりぷりである。

「いろんな種類を食べたいですし」。連れの美女も口を揃える。

「飲み会で串から食べたらワイルドかも(笑)。でも歯がむき出しになるのって女としてどう?」

ニヤつく編集S。まさかのオニババデジャブに気が遠くなる筆者。しかし薄れゆく意識の中、筆者は考えていた。「合コン」をあえて「飲み会」と呼び、清純ぶっておしゃべりに興じる彼女たちにとって食べづらく、量も多くなる「串」は不自由の象徴なのかもしれない。焼鳥は串から外されて初めて「自由」を手にするのか――。

そのときである。彼女たちの無邪気な逆質問でわれに返った。

「そもそも、焼鳥って串から外しちゃダメなんですか?」

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西澤 千央