トランプの考え方はシンプルだ。自分を大きくみせて、相手を脅し、徹底的にぶっ潰す。そのための努力は惜しまない。彼の言葉を引こう。

「努力すればするほど、わたしの運は上向く」
「わたしは慢心していないし、慢心した人間とは無縁でいたい」
「最高の人材を雇え。ただし、決して彼らを信用するな」
「相手から利益を得たい場合は、あらかじめ相手に脅しをかけておかなければならない。こちらの要望が通らなければ、そちらにも相応の痛みを感じてもらうぞ、と」
「両者が得をするウィンウィンの取引こそが良い取引であると多くの人は言う。戯言(たわごと)もいいかげんにしてほしい。すばらしい取引とは、あなたが勝つ取引であり、相手が勝つ取引ではない」

最終的な行動原理は快楽主義だ。

――わたしはセックスも好きだが、取引の成功はセックス以上にすばらしい(『でっかく考えて、でっかく儲けろ』)

そして自分のビジネスには徹底的に惚れ込む。所有するビルやホテル、カジノ、ゴルフコースなどの多くに自らの名前を冠するのはその表れだろう。冒頭の「メキシコ国境に壁を作る」という発言には、こんなオマケまでついている。

――トランプ・ウォール。すばらしい壁になるぞ。なぜって、いつか私が死んだら、その壁に私の名前がつけられるからだ(15年9月テキサス州ダラスでの遊説)

世界一の大国の元首となったトランプ。その姿勢にブレはない。

――満足したわたしは、もはやドナルド・トランプではない(『でっかく考えて、でっかく儲けろ』)