物事は「徹底」してやれば成就する

「為せば成る。為さねば成らぬ、何事も。成らぬは人の為さぬなりけり」

これは江戸時代中期、藩存亡の淵にあった米沢藩を藩政改革で立て直した上杉鷹山の言葉として有名です。

米沢藩上杉家は、関ヶ原の戦いの前は会津藩120万石の大藩でした。それが西軍に味方して敗れたために、徳川家康によってわずか30 万石の米沢に減移封。家臣団5000 名はリストラせずに連れて行ったために、藩財政は初めから大赤字。度重なる債務超過で滅亡寸前。幕府に、藩返上を願い出る目前にまでいきました。

『日本電産 永守重信社長からのファクス42枚』(川勝宣昭著・プレジデント社刊)

その藩を救ったのは、九州の小藩から婿養子として入った鷹山でした。藩主自らが「一汁一菜、木綿の着物」を貫き、再建に着手します。ところが、実績、経験のないよそ者で、かつ若手の藩主に対して大多数の家臣は面従腹背。それでも藩主自ら再建に取り組む真摯な姿に感動して立ち上がったのが、少数の若手武士でした。

この藩主+若手武士団の改革運動が、やがて全体を動かし、どんな小さな事柄でも全員で「徹底して」やる集団に発展します。そして積もり積もった改革で、大借金藩がいまのお金にして600億円の剰余金を生むまでになったという話です。

この永守流改革を地でいくような藩改革を、おこがましいことながら、当時私はわが身に置き換えて、自分を励ましていました。この歌は、「改革は、物事を『徹底』してやれば必ず成就するものだ、できないのは『徹底』してやらないからだ」ということを、困難な改革を通じて身にしみて感じていた鷹山が、その教訓を歌にして家臣団に伝えたのではないかと、私は勝手に解釈しています。

※本記事は書籍『日本電産永守重信社長からのファクス42枚』(川勝宣昭著)からの抜粋です。