まず、50歳男性なら月額4000円で、平均余命まで377カ月。支払い総額は150万8000円。一方、60歳は月額5570円、平均余命273カ月で152万610円となる。その差は、わずか1万2610円でしかない。この傾向は、何歳から加入してもほぼ同様だ。払うコストが変わらないなら、若いうちに入るほうが得だ。

その際に注意しなければいけないのが、一入院あたりの支払い限度日数だ。いま問題とされているのが「180日ルール」である。

もし、一入院の限度日数が60日で、入院日額5000円の医療保険に入っているBさんが糖尿病を治療するために、50日間の入院を3回、50日ずつ空けて行ったとする。入院日数の合計150日分、75万円がもらえると思うはずだ。

しかし、そこには制限があって、最初の60日分である30万円だけになってしまう。なぜなら、同じ病気で再入院する場合、最初の退院日の翌日から、2回目の入院の日まで180日超空いていないと、継続している入院とみなされてしまうからだ。ただし、全労済の共済なら、一入院の限度日数が180日なので、150日分の75万円が給付される。多少、掛け金は高くても一入院の限度日数が長い医療保険にしておくほうが望ましい。

ところが、ここに来て別の病気が原因で入院しても「180日ルール」が適用されてしまう厳しい医療保険も出てきている。掛け金は安いが、高齢になれば複数の病気を抱えている人も少なくなく、私は大きな問題と考えている。だから、医療保険に加入する際、面倒かもしれないが、約款やしおりをきちんと読んでおくことが大切だ。

塚原 哲
生活経済研究所長野 事務局長。労働組合シンクタンク「生活経済研究所長野」事務局長。CFP。医療施設を含む全国の労働組合を対象に、年間200回以上の講演を行う。「家計の見直しセミナー」も開催、ウェブ配信している。雑誌「日経マネー」にて、「男の家計改善」を連載中。
(岡村繁雄=構成)
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