グレーでも会社の方針は“推定有罪”……同僚との絆は切れる

会社にとって大切なのは社の成長。生き延びるためにはリストラだろうとクビ切りだろうと平気でやる。現役社員として法廷に立たれると、マスコミが報道して世間が騒ぎ立て、株価が下落するかもしれない。会社にとってリスクとなる被告人には、すみやかに辞めてもらうのが一番なのである。

被告人が冤罪を主張する事件で多いのは痴漢。被害者の勘違いだとわかり、無罪判決が下されることもある。社員を信じるなら、逮捕されただけでクビにはしないはずだがそうはなっていない。仮に疑いが晴れ、会社に戻れたとしても居心地は最悪。事件前の雰囲気に戻るまでには、かなりの日数を要するに違いない。

このことは、ひとつの事実を表している。あなたは会社にとって唯一無二の存在ではないということだ。

あなたが思うほど、会社はあなたのことを大切に考えてはいない。長年勤めていれば自然に愛着も抱くだろうが、代わりはいくらでもいるし、そうでなければ困る。どんなに会社を愛しても、それは片想いに終わると覚悟したほうがいい。

いざとなれば会社が社員に冷たいことなど常識。日頃から過度な期待をせず、適切な距離感で接しているという読者もいるだろう。

では、同僚はどうだろうか。法人たる会社は社員を駒のように扱うけれども、同僚とは人と人としての付き合いをしていると思ってはいないだろうか。

同期や同じ部署で働く社員とは個人的な付き合いもしやすく、結婚式に呼んだり呼ばれたりの親しい関係を築くことができる。家族を除けば、もっとも長い時間をともに過ごす関係には、同僚という堅苦しい言い方より、“職場の仲間”がしっくりくる感じだ。

しかし、“職場の仲間”はあくまで職場あっての人間関係。リタイアし、会社の肩書きがなくなった途端に人間関係が切れてしまうのはよく聞く話である。やがてはあなたもそうなる。真の友人となれる同僚はほんの一握りしかいない。

自分はまだ若い。人間関係も大切にしている。同じ職場でなくなっても絆は切れない。そう信じている人へは裁判の傍聴をおすすめする。