「過熱水蒸気調理」を、“21世紀の調理方法”として広めたい

水で焼く「健康調理」を打ち出したヘルシオなのに、多くの人は電子レンジのいわゆる“チン”、もしくは解凍機能しか使っていない……企画担当者としては耐えられないことだが、厳然たる事実だった。その事実にきちんと向き合うことで浮かび上がったのが、ヘルシオ グリエの企画だという。

「『水で焼く』という原点に戻って体験・体感できるものを作らない限り、本当の意味でウォーターオーブンが日常化しないのではないか。自虐的な話ですが、そこにこの商品の原点があります。マイクロウェーブ(電子レンジ)も、ヒーターも使わない。カテゴリーとしては『過熱水蒸気のみで加熱する、ウォーターオーブン専用機』です」(田村氏)

加熱中のヘルシオ グリエ。前面の窓から、たくさんの水滴がしたたっているのが見え「水で焼いている」ことが視覚的にも伝わる。

思い当たる節がある人も多いのではないだろうか。最近の多機能オーブンレンジは電子レンジのあたためや解凍の他に、オーブン調理や蒸し調理、過熱水蒸気調理など多彩な調理機能を搭載しているが、それらの機能を活用するためにはレシピブックを見ないと調理できないことも多い。最初はいろいろとレシピを活用して料理を作るが、いつしか面倒になってフライパンや鍋での調理に戻ってしまう……。

「電子レンジは『マグネトロン』というものを用いて、電磁波で温める加熱方式です。これもシャープが日本で初めて商品化しましたが、今は皆さんも慣れて日常化しています。ウォーターオーブンも『21世紀の新しい健康的な加熱方式』として打ち出しましたが、12年やっていても日常化されていません。毎日使ってもらえるようにすることによって、新しい加熱方式になじんでいただこう、それがこの商品のコンセプトなんです」(田村氏)

水で焼く技術「過熱水蒸気調理」の原点に戻る商品

 「水で焼く。21世紀調理器、誕生。」をキャッチフレーズに発売した初代ヘルシオは、電子レンジ機能すら搭載しない「ウォーターオーブン専用機」だった。しかしオーブンレンジスタイルで電子レンジ機能を搭載していないものは販売戦略的に売りにくく、翌年の第2世代モデルから電子レンジ機能を搭載した「オーブンレンジ」になっていった。その後、パナソニックや日立などの競合メーカーも過熱水蒸気調理機能を取り入れていったことで、ヘルシオシリーズのアイデンティティーは埋没していった。

シャープは2016年11月からコーポレート宣言として「Be Original.」を採用しているが、ヘルシオ グリエはまさにヘルシオシリーズの「原点(オリジナル)」を見直し、そこに特化した製品というわけだ。

唐揚げなど、揚げ物を加熱すると、外はカリッと中はジューシーに温まる(左)。過熱した水蒸気が食品の中に入り込んで温めるので、余分な油が抜けてヘルシー(右)。

お総菜などを家で食べる「中食」がターゲット

12年以上前に世に送り出した過熱水蒸気調理を21世紀の「当たり前の調理方法」として普及させるために企画したというヘルシオ グリエ。そのターゲットとなる使い道は「中食」だった。

中食とは、レストランなどで食べる「外食」、食材を購入して自宅で調理する「内食」に対し、デパートやスーパーなどのお店で購入したお総菜などを家で食べるスタイルのことを指す。ここに目を付けた背景にはパン食とお総菜市場の拡大、さらには冷凍食品活用の拡大がある。

「総務省の調べによると、お米の消費が年々減っており、消費がパンに移っています。また、中食の代表格であるお総菜も、デパ地下の総菜売り場が非常に活気を呈しているというのもあり、売り上げがどんどん増えています。さらにもう1つの社会的背景が冷凍食品です。コンビニやスーパーで冷凍食品の売り上げが伸びているだけでなく、昨今では農水省が食材を捨てないようにするために『ホームフリージング』を推奨しています。そこで中食の総菜やパン、冷凍食品を家で食べるときに『本当においしく食べられているのか?』という問題提起をしました」(田村氏)