「アパレル関連事業」へのM&Aが加速

もう一つ、RIZAPグループのM&Aをみていく上で重要なキーワードがあります。それは、「自己投資産業で世界NO.1になる」というものです。これを実現するため、セグメントを「美容・健康関連事業グループ」「アパレル関連事業グループ」「住関連ライフスタイル事業グループ」「エンターテイメント事業グループ」と4つのカテゴリに分類してM&Aを加速させています。特に最近目立つのが「アパレル関連事業グループ」へのM&Aの加速です。

今年に入りTOBにより子会社化するジーンズメイトをはじめ、夢展望やMISUZU、アンティローザなどこの数年で6社ものアパレル企業を買収しています。また、アパレル関連を強化するための人事も行っています。昨年12月には、ファーストリテイリングの元執行役員CIOで20年間ファーストリテイリングをシステム面で支えてきた、岡田章二氏の招聘を発表しました。

しかしながら、今後アパレルを加速度的に展開していく上で不安な点があるのも事実です。先ほど記載したように、RIZAPグループの強みは、「他に類を見ないマーケティング力」であり、広告宣伝費を使い、認知度を一気に高め事業を推進するというモデルです。広告宣伝費を十分にかけるには、原価率が低い高粗利商品であることが必須条件になります。現に、健康食品分野もRIZAPのような高付加価値プライベートジムも、粗利率の高いビジネスです。

一方で、アパレル事業は、今までRIZAPグループが展開してきている事業ほど高粗利商品ではありません。その点から見ても、自社にメディアを保有することで、今まで培ったマーケティング力を活かし、広告宣伝費を抑えながら事業成長をさせる必要があったのだと思われます。そのような観点から見ても、今回のぱどの買収によってメディアを内製化、強化できたことは、RIZAPグループにとっては非常に意味があったと考えられます。

最後にRIZAPグループがこの先どこに向かっているのかを見ていきたいと思います。

中期経営計画「COMMIT2020」の中で、2021年3月期に連結売上高3000億円、連結営業利益350億円を達成させると宣言しています。2016年12月のIR説明会の中では、2017年3月期の連結売上高1000億円、連結営業利益100億円の目標が達成見込みであると、発表しております。これが実現すれば、対前年比売上高で180.3%、営業利益で200.3%となる見通しです。

「COMMIT2020」を実現していくために、今後も積極的なM&Aをしていくと発表しています。

「結果にコミットする」RIZAPグループが「COMMIT2020」もしっかりとコミットできるのか、そして、「自己投資産業で世界No.1ブランドをつくる」ということが実現できるのか。今後のRIZAPグループのM&Aから目が離せません。

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