2017年3月3日(金)

買ってきたカツでOK! ウマい「かつ丼」のつくり方

dancyu 2015年6月号

文・星野一樹 撮影・牧田健太郎
湯島「くろぎ」店主 黒木純様

「かつ丼」が無性に食べたくなるときがあります。できれば、自宅で手軽に楽しみたいのですが、わざわざかつを揚げるのは、面倒くさくてどうもやる気がおきません。そこで、とんかつを買ってきて、家でかつ丼をつくってみようと思い立ちました。口にした瞬間、思わずウマい! と膝を打つようなものをつくることはできますか? お知恵をお貸しいただけたらうれしいです。

「丼つゆ」さえあれば家でウマいかつ丼ができますよ

もちろん、自分でかつを揚げるのが、パーフェクトにおいしいかつ丼をつくるために必要なプロセスだとは知っている。

なのだが、粉と油にまみれた使用後の台所を想像するだにありえない。怠け者とそしられてもいい。ただ、買ってきたかつで旨いかつ丼がつくりたいのだ。

そんな積年の悩みの解決に快く応じてくれたのが、湯島「くろぎ」店主にして“若き和の鉄人”黒木純さんだ。そこで、デパ地下で買ったとんかつを持参して、かつ丼づくりの教えを請うことにした。

まず最初に、持参したデパ地下とんかつをチェック。

「揚げすぎで、肉の水分が抜けてしまっています。揚げ油のにおいも気になりますね。どんなとんかつを使ってもおいしくできるよう、今日はだしと玉ねぎに頑張ってもらいましょう」

黒木さんの教えは大きく2つ。

まずは、その一、「玉ねぎの力を借りて、おいしい丼つゆをつくるべし」。

玉ねぎを飴色になるまで炒めて旨味をプラス。また、玉ねぎには、豚肉の臭みを消す効果もある。

その二、「とんかつは薄く切るべし」。

とんかつをカットする際の厚さは、驚きの5mm! これはおいしい丼つゆを満遍なくしみ込ませ、短時間で均一に火を通すため。

「丼つゆの配合の割合? 僕の好みです。一番ご飯に合うと思ったから」

果たして、鉄人黒木の直感に狂いはなかった。一口かっ込めば、分厚いだしの風味が、とろりとした卵ととんかつを抱き込んでご飯とからみ合う。玉ねぎが紡ぎ出す、すっきりとした甘味で最後まで食べ飽きない。

日本中から予約が殺到する割烹の大将が考える、美味しいかつ丼の秘密は、当たり前の材料にひと手間かけること、だった。奇をてらうのではなく、素材の背中を押したり、少し引いたり。さすが素材の魔術師である。

願いは今叶えられた。買ってきたかつのかつ丼最強レシピ、ここに完成だ!

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星野 一樹