「私の指示を守っていたら、こんな事態には……」

あるいは、こんなビジネスシーンもよく耳にする。

部下が顧客先のプレゼンで失敗し、ライバル社に仕事を持っていかれたとき、「私が教えた通りにやっていればうまくいったはずだ」とけなし、その後もあいつがもう少し上手くやっていたらライバル社に負けずにすんだんだ」と延々と言い続ける上司もいる。

しかも、受注できなかったのは部下の責任であり「自分の指示をしっかり守っていたらこんな事態にならなかったのですけれども」と部長に言い訳する上司までいる。

上司だけではない。課長が部下のチームリーダーに新人の面倒をちゃんと見るように頼んでもこう言って口答えする人もいる。

「課長、それは説教ですか。彼らが質問でもしてくれたらちゃんと教えますが、何一つ提案すらしない。少しでも仕事に対する意欲を持っていれば教えがいもありますが、こっちも忙しいし、そこまで責任は持てませんよ」

タラレバが飛び交う職場ほど雰囲気がギスギスしている。

背景にあるのは、業務量の増大や課長の「プレイングマネージャー化」だろう。総じて時間や心の余裕がなくなっていることがタラレバ頻発の要因になっている。