――スタッフのホスピタリティはマニュアル化されているのか。

【上西】3000万人のお客様に対して、すべて対応できるマニュアルはつくれるものではない。一人ひとりのスタッフが、状況に応じてお客様が何を望んでいるかをしっかりと受け止めて、対応していくほかない。そういうスタッフを育てるためにはどうするかを試行錯誤してソフトへの投資をしている。

――いつまで投資し続けるのか。

【上西】「これでいい」ということはない。たとえば、直近の例でいうと東京ディズニーシーの「トイ・ストーリー・マニア!」という新しいアトラクションが人気になった。それによりお客様の満足度が高まったことは間違いないが、お客様がずっと満足し続けるかというとまた別だ。パークに来たときにはまた違う新しさを提供することで、既存のアトラクションも生きてくる。

それが、ウォルト・ディズニーの言った「パークは永遠に完成しない」ということだと思っている。

オリエンタルランド社長兼COO 上西京一郎
1958年、東京都生まれ。80年4月入社。以後、総務部、スポンサー業務部を経て、2003年取締役総務部長に就任。取締役執行役員経営戦略本部長などを経て、09年4月より現職。
(むかのけんじ=撮影)
【関連記事】
入場者数が過去最高!「USJ」仕掛け人の思考法
なぜ「伊勢丹メンズ館」に顧客が殺到するのか?
なぜディズニーにはサービスマニュアルがないのか?
『シン・ゴジラ』『君の名は。』……ヒット商品はどのように生まれるか?
なぜドン・キホーテには“中国で認知度ゼロ”でも訪日客が集まるのか