生産性向上の鍵として中小企業白書でも取り上げられているITの経営への活用──。企業向けITツールで経営効率化を支援するラクスの本松慎一郎執行役員にその実態などを聞いた。

高収益企業はITを活用しその効果を得ている

本松慎一郎(もとまつ・しんいちろう)
株式会社ラクス 執行役員
クラウド事業本部 ファイナンス・クラウド事業部長
大阪大学大学院工学研究科にて人工知能の研究。2001年4月にアイティーブースト(現在のラクス)の立ち上げに参画。2012年より、執行役員。

高い業績を上げる企業の条件とは何か。中小企業の“稼ぐ力”に注目した2016年度版中小企業白書では、稼いでいる企業の共通点を紹介。ビジョンの明示、人材の育成、業務プロセスの高度化などを通じて生産性の向上につなげているとした。日本企業にとって生産性アップは長年の課題。特に社員一人一人の役割が大きい中小企業では、人手不足や長時間労働の問題もあって改善が急がれている。そこであらためて期待がかかるのがITの活用だ。

「業務効率化を狙ったIT活用は、近年広がっています。例えば、交通費や経費の申請業務でもその傾向は顕著です。弊社が行った調査では、2015年時点で交通費や経費の申請・精算にシステムを利用している企業の割合は29.9%でしたが、昨年には35.8%にまで増加しました」

クラウド型経費精算システム「楽楽精算」を提供するラクスの本松慎一郎執行役員はそう語る。中小企業白書では、IT投資についても分析。投資効果が事前に見えにくいなどの理由で踏み切れない企業も多いなか、高収益企業はIT投資を競争力強化につなげていると指摘した。

「例えば経費精算は、手作業では時間もかかりやすく、全社員が関係するためIT化の効果が見えやすい業務。経理業務を1~2名程度で行うことも多い従業員数百名規模の会社では、伝票の作成、支払い、数字の確認といった作業の負担が大きくなりがちです。そうした定型業務を効率化できれば、担当者の方も決算業務などの本来の業務により集中しやすくなるでしょう」

すべての社員が関係する経費精算の負担を軽減

導入費用などのハードルも、クラウドサービスの登場などでかなり低くなっている。なかでも「楽楽精算」は、クラウド型経費精算システムとして国内最多となる1700社が導入。経費の申請、承認、精算のすべてをIT化することにより、精算業務にかかわる全社員の負担を軽減する。

「交通費などの申請の際、駅名や運賃を一件ずつ調べ、エクセルや紙に記入していく作業は手間がかかるものです。部下からの経費申請を承認する管理職も確認に時間を取られますし、場合によって外出先から承認作業のためだけに会社に戻る必要も出てくる。全社員の申請内容について最終確認を行い、仕訳や会計ソフトへの入力、振込データの作成などを担当する経理の方の負担も相当なものでしょう」

交通系ICカードやクレジットカードの利用履歴を申請データにできる「楽楽精算」なら、経費申請の手間は大幅に削減される。承認も外出先からスマートフォンなどで可能。規定違反のある申請にはエラーを出して受け付けないように設定できるので、社内ルールに沿った申請を空き時間に承認するだけで済む。

また、経理担当者の負担も軽減できる。申請と同時に勘定科目と申請データが自動的に紐づけられるため手作業の仕訳は不要。会計ソフトとも連携ができ、データを再度手入力する必要もない。銀行振込のデータも自動で作成できるため支払い作業も簡単だ。

「100人規模の会社の場合、経費精算の時間は紙・エクセルで処理していたときの5分の1になるという試算データもあります」と本松氏は言う。

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「楽楽精算」の導入によって、経費精算にかかる時間がおよそ1/5 に。申請業務、承認業務、 経理業務にかかっていた時間がそれぞれ大きく削減される。特に経理業務における効果は著しい。
(株)ラクスの試算による。

経費精算のミスや不正も減らすことができる

経費精算の効率化により、全社員が本来の業務に集中できるようになれば、企業の生産性も上がるだろう。
「煩雑な手続きをシステム化することでミスや不正も起きにくくなり、内部統制を強化しながら経費精算業務に係るコストも削減できます。また、決算の早期化も実現。経費を見える化し、判断材料を得ることで、課題発見や意思決定の精度も上げられるでしょう」

導入に必要なのはネット環境のみで、利用料も月額3万円からと、導入・運用コストが低いのが魅力。また、初期設定や運用も、ラクスが頻繁に行っている設定講座に参加すれば、専門知識がなくても簡単に使えるため安心だ。クラウド型のサービスなので、交通運賃の改定などもラクス側で素早く対応できる。2016年9月には電子帳簿保存法のスキャナ保存要件に対応するタイムスタンプ付与機能を追加するなど税制改正への対応もスムーズだ。

「サポート体制の充実と頻繁なバージョンアップは、当初から重視してきた点でした。専任のサポートスタッフが日々使い方のご質問や機能のご要望をうかがうなかで、お客様のニーズを素早くキャッチアップし、システムに反映。お客様からもサポート体制が充実しているという声をいただいています」

ITで中小企業を強くする──。そうした理念を持つラクスでは、請求書などの帳票をWeb上で発行し、手間とコストを削減できる「楽楽明細」など、ほかにも利便性の高いツールを提供する。業務効率化で“稼ぐ力”のアップを目指す企業にとっては、頼りになるパートナーとなりそうだ。

これが「楽楽精算」の活用メリット!

<ユーザー企業の声>

■4日かかっていた精算作業を1日に短縮

オイシックス株式会社
(インターネットなどを通じた食品・食材の販売)

 

以前はエクセルでつくった全社員分の申請書を経理担当者が目視で確認し、仕訳と振込データの作成を行っていました。しかし、それでは担当者の負担も大きく、経費を素早く把握して経営判断に生かすのも難しい。そこでシステム化を検討し、複数の選択肢から導入や運用のコストと使い勝手の良さを考えて「楽楽精算」を選択しました。毎月4日かかっていた精算業務を1日に短縮でき、ミスも激減しました。


■迅速な経費精算で決算の早期化が実現

トレンダーズ株式会社
(マーケティングPR事業、メディア事業)

 

「楽楽精算」の導入で、それぞれの社員が経費申請をする際の作業量が圧倒的に減りました。申請時の人為的ミスも起こりにくいので、経理担当者が確認や修正に要する時間も減少。会計ソフトへの連携など経理側の作業を効率化する機能も豊富な上、申請が滞っている場合もどこで作業が止まっているか確認できるため、月初2営業日には経費精算を完了できるようになり、決算の早期化も実現しました。


■経費の仕訳作業が丸1日から1時間に

株式会社不動産SHOPナカジツ
(不動産仲介事業・建設事業・保険代理店事)

 

「楽楽精算」はネットバンクとの連携や勘定科目ごとの自動集計などの機能が充実し、カスタマイズの自由度も高くなっています。導入時のサポートも丁寧で、全社員が利用しやすいシステムを手をかけずに実現できました。導入の結果、経理スタッフ1名が丸1日かけていた全従業員分の仕訳作業も1時間ほどに短縮され、月80時間の出金作業もゼロに。大幅な効率化ができ満足しています。

お問い合わせの際に「プレジデントオンラインを見た」とお伝えいただくとスムーズです。