「競合他社の話をするときは気を使う」(30歳・建設)、「悪口にならないようにライバルの説明をするのが難しい」(38歳・IT)というように、ライバルに言及するのは大変だ。しかも、それによって自分のことを引き立てたい、相手のことも貶めたくないとなると、さらにハードルは高くなる。

過度な悪口は業務妨害の危険信号

まずは弁護士として活躍する佐藤大和氏から法律的な見解を聞こう。

「絶対にやってはいけないのは、ライバル企業の悪口だけを言うことです。自分への信頼感を落とす行為になりますし、過度な悪口は『業務妨害』等になることもあります。私の場合、他の弁護士も扱う問題であれば、自分と他の弁護士を客観的に見た際のメリットとデメリットを比較しながら伝えることにしています。そのうえでクライアントに判断を委ねるのです。デメリットを伝えるのは抵抗があるかもしれませんが、正直に至らない部分も話すことで、必ず好感度は上がります。『客観的な視点がある=信頼できる人物だ』と評価されるので、そのときは依頼がなくても、また別の案件で相談に来られたり、新しいクライアントを紹介してもらえたりすることも」

自分(の会社)を客観的に見る目を持つこと、デメリットを語る勇気を持つことが、長期的に見ればライバルより秀でる足掛かりになるのだ。

悪口を言わない、ということに関しては営業支援会社で代表を務める嶋基裕氏も同意見だ。

「CoCo壱番屋の創業者・宗次徳二氏にお会いしたとき、お客様を第一に考えているからこそ、他社のことも『一般的にどうか』ということもまったく気にならない、と言われました。現役時代は、経営者の会合にもほとんど参加されなかったそうです。そこまで目の前のお客様のことだけを考えていると、結局はそれが他社との差異化になる。その話を聞いてなるほどと感じて以来、私も他社のことは気にしなくなりました。引き合いに出すこともしません。ただし、個人レベルで自分を引き立てたい場合は、ライバルを褒めて褒めて、褒めちぎります。褒めるということは、その時点である程度の『上から目線』になっているわけです。さらに、『ちなみに自分にはこういう実績がある』と、ライバルよりも優れた実績を提示できれば最高です。『この人は、そんなにすごいライバルより上なのだな』と印象づけられるわけですから」

グローバルにビジネスを展開しているマイケル・オン氏も、基本的には他社の話はしないという。

「私は、常にほかより優れたもの、新しいものをつくり続けることが成功へのカギだと思っています。そのため、自社のプロダクトについては、いつも『これはまったく新しいコンセプトです』と紹介します。そう紹介できるものしかつくっていないという自信もあります。たとえば今日本で展開しているのは、伝統的な漢方の考えを取り入れて、日本で開発・製造された自然派コスメです。新しいコンセプトの商品にはライバルがいないから、他社の話をする必要もないのです。グローバルにビジネスを展開したいなら、小さな世界で足の引っ張り合いをしないことですよ」

・自社のデメリットを言う【
・同業他社のデメリットを言う【×
レイ法律事務所 代表弁護士 佐藤大和
芸能トラブル・企業法務など幅広くカバー。人気ドラマの法律監修・出演なども行う。著書、『ずるい暗記術』『二階堂弁護士は今日も仕事がない』。
 
アイランド・ブレイン代表取締役社長 嶋 基裕
「世界で一番頼りになる営業支援会社」を目指し、55業種・1200社以上の営業・販路開拓をサポートする営業支援事業を行う。商談実績は4万件近く。
 
香港経済士学会 会長 マイケル・オン
シンガポール出身。香港、中国での豊富なビジネス経験を持つ投資家・実業家。スキンケアブランド「TCM+」を展開するMiLOCグループCEO。