【5】光セット割 vs 光コラボ

▼安易な乗り換えは「損」になることも

携帯電話と自宅の固定回線をセットにすることで、通信費を割り引くサービスが人気を集めている。こうした割引は本当にお得なのだろうか。ドコモは「ドコモ光パック」、auは「スマートバリュー」、ソフトバンクは「おうち割光セット」だ。このうち「ドコモ光」は加入者が200万件を突破するなど好調だという。

具体的にはどのような割引なのか。表にまとめた。ドコモの「光セット割」の割引額は、スマホのデータ通信料によって異なる。表では10GBを3人で分け合うことを想定している。その場合の割引額は1200円だ。

これまで自宅の固定回線が「フレッツ光」で、プロバイダーを別途契約していた場合、そのプロバイダーからドコモに乗り換えることになる。マンションタイプの場合、「ドコモ光」への乗り換えで固定回線の料金は550円増えてしまう。だが1200円の割引があるため、総額では毎月650円分がお得ということになる。

ただし携帯電話とのセット割引は複雑な条件があり、光の契約タイプ、携帯電話での契約プラン、1人なのか家族なのかによって割引額が大きく違う。また新規工事が必要になる場合があるため、乗り換え時にネットが一時不通になる恐れがある。また携帯電話をドコモ以外に乗り換えてしまうと、割引はなくなる。MVNOなどへの乗り換えもできなくなるので、注意が必要だ。

セット割ではなく、自宅回線を安くする方法がある。2015年2月に始まったばかりの「光コラボレーション(光コラボ)」だ。NTT東西の固定回線を各事業者に卸すことで、光回線のさらなる普及を狙ったものだ。通信費を下げてスマホの普及を狙った「MVNO」と似た仕組みだといえる。

光コラボのうちNTTグループであるOCNで料金を調べてみると、2年契約とした場合、月額費用は3600円だった。最初の1カ月は無料だが、初期費用として3000円の事務手数料のほか、2000円から1万8000円の工事費が発生する。こうした費用を軽減するためか、各事業者は商品券や現金を配るキャンペーンを行っている。

※3人家族でスマホを3台だと想定。長期割引は考慮せず。フレッツ光はギガマンション・スマートタイププラン2+プロバイダ料金500円、光コラボはOCN光の2年自動更新型割引を適用。6000円分の商品券を12カ月で換算。事務手数料、工事費は考慮せず。金額は税抜き。

価格比較サイトでは、こうしたキャンペーンでの割引を「実質価格」として、お得をアピールしている。だが、多くは2年契約のため、引っ越しなどで途中解約すれば1万円程度の違約金が発生する。月額費用が高くなることもある。賢い選択を心がけたい。

三上 洋

ITジャーナリスト。1965年生まれ。携帯電話料金、セキュリティが専門。テレビやラジオで通信料金の解説も行う。
 
(取材協力=佐々木 翼(ガジェットギーク))
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