「賢い消費者」のように

では、「労働者」であることについて、それをどのように見直せばいいのでしょうか。もちろん、これはまさに十人十色で、正解はありません。でも、「消費者」の立場や「消費」のあり方、その変化などを見ていくと、いろいろヒントがあると思います。

「消費」という行動に関しては、用意されたシステムの中にいながらも、みんな賢くなってきたように思います。企業の販売戦略に踊らされて、テレビCMなどを見て何でもかんでも買うような人は少なくなりました。お金への人気はまだまだ根強いですが、それでも、ただただそれを使って消費するのは“賢くない”という価値観が定着しているように感じます。

もちろん、消費そのものを排除したわけではありません。本当に必要なものはみんな買っています。

でも、大事なものなら古くなってもずっと使い続けますし、中古という概念もフリマアプリなどで随分発展しました。身につけるものも、流行りを追ってもいいし、自分のスタイルにこだわってもいい。ユニクロやH&Mのようなファストファッションで満足する人もたくさんいますし、高級ブランドにこだわる人もまだまだいます。しかし、「ユニクロ」や「H&M」は高級ブランドの下位互換に位置づけられたのではなく、「別の選択肢のひとつ」になったのだと考えられます。

つまり、消費者に「選択」と「個性」が生まれています。自分の人生における「消費」の意味や価値をちゃんと考えて、一定の距離を取り、自分なりに賢く自由に行為しています。