「ゆっくりしてから活動開始」はNG

前頁でも述べましたが、中高年の転職希望者の不幸は、良きアドバイザーがきわめて少ないことです。

しかし、我々ならこうした転職活動中の細かなノウハウから、キャッチャーの構えたミットに要求通りのボールを投げ込む書類の作成も面接の仕方も指導することが可能です。

では、我々が人材紹介事業とは別部門で、個人の転職サポート事業として転職を成功させるために行っている事柄を順に述べていきます。

(1)転職市場を知る

準備段階として大切です。ハローワークへ行く、人材紹介会社や求人サイトに登録する、転職セミナーに参加するなど、まず自分から能動的に動いて情報を集めることが第一歩です。

管理職クラスの方だと、ハローワークでの職探しを敬遠するのですが、まれにいい案件もありますし、何よりもどういう会社がどのような人材を求めているのか、自分がこれから上がる土俵がどういうものなのかを知っておかなければなりません。

(2)“敵”を知り、自分の“武器”を知る

前述したように、中高年の転職は、今いる会社の肩書では戦えません。転職活動のいわば“敵”=企業・業務を絞り込み、リサーチすると同時に、自身のスペシャリティとは何か、すなわち自分の“武器”とは何かを突き詰めます。

「この領域なら誰にも引けをとらない」という“オンリーワン”があれば強力な武器になりますが、ゼネラリスト志向で過ごしてきた方の中には、自分の経験にそれを見出しにくい方がいます。

我々は、キャリアカウンセリングなどを通して相談者の武器を探し出しますが、「こんな球しか投げられない」と思い込んでいる方にも、当人が気付いていないだけで、何かしら「オンリーワン」の要素を持っている可能性はあります。

人間の能力は一様なものではありませんし、長所も一つではありません。いくつかの能力や人格的な長所が合わさって、オンリーワンの武器が明らかになることもあります。

(3)ただちに戦略を立て、行動する

離職してから転職活動に入る場合、一度海外旅行にでも行って数カ月ゆっくりしてから……などと考えてはいけません。転職すると決めたらただちに動くのが鉄則。せっかく磨いてきた自分の武器を錆つかせてはいけません。

そのためにもし転職先を決める前に退職しても、朝自宅を出て夕方戻るという在職中と同じ生活リズムを保つよう勧めています。

昼間に通う場所は図書館でも喫茶店でも構いません。しかし、職を求める中高年の多くは、人材紹介会社などに登録したまま求人情報を自宅で探しているだけ。つまり、家に閉じこもっています。

転職サイトを見て企業や人材紹介会社宛てに毎日毎日メールを出して、昨日もダメだった、今日もダメだったという作業を何度も繰り返していると、培ってきたビジネスセンスが急激に衰えていきます。それどころか、表情が乏しくなり、顔色も白くなり、声の張りも失せて、他人との会話の反応が鈍くなります。

そんな精彩を欠いた状態で面接に出ていったら、どう思われるでしょう。在職中はバリバリのエリートだったとしても、迫力が失われていたら受け入れてはもらえないでしょう。