商社や問屋を通さず専門店と直接取引

平安時代から京都で1200年以上続く傳來工房。

商品開発力と品質については鋳造業界で高い評価を受けていたバックボーンを生かし、大手エクステリアメーカー商品では満足できないこだわりのある生活者を対象に、自社のオリジナルエクステリアブランドとして「ディーズガーデン」を2003年1月に投入した。

ディーズガーデンは売上総利益率の目標を50%として価格を設定し、価格を上回る価値を備えたデザインと機能性により、高い商品価値を実現する商品開発に取り組んだ。

同社出資100%の海外工場をフィリピンに設立し(2016年7月現在従業員約90人)、この地を主力工場として国内の職人と同等の高度な技術移植を行い、ローコストで高い品質を確保できる生産体制を確立。さらに皇居や美術館などの主要建造物で培った同社のデザイン力と高品質な生産技術・品質管理体制を生かし、業界でも屈指のデザイン性と高品質性を備えたディーズガーデン商品群を完成させた。

いかに大手メーカーと差別化できた商品でも、販売する店舗や販路で違いを発揮しないと本来の価値は伝わらないと同社は判断。業界の慣例だった商社や問屋を経由せず、販路は直接顧客に接して設計施工を行うエクステリア専門店と直接取引し、間接マージンの削減も図った。あえて施工が必要な商品にすることで、ホームセンターが扱う商品とは違いを出し、エクステリア専門店には施工代が増えるように考えたわけだ。

具体的にはエリアNo.1の提案型エクステリア専門店を同社の販売パートナーとして位置付け、全国にある対象店舗を一軒ずつ訪問し、事業計画の主旨と相互メリットを丁寧に説明し、業界初となる専門店直接契約という新たなビジネスモデルをつくり上げた。

同社は単に商品製造と供給に終わらず、販売店向けに「見込み顧客のWeb集客」や「各種販促支援」、SNSを活用した「Web広告や情報発信」などの販売店向け支援策も展開している。現在ディーズガーデンの正規指定特約店数は、全国300社400店舗で毎日FAXやメールを通じて受注対応を行っている。

高付加価値商品づくりと独自の販路政策によって同社の収益率は高まり、現在の安定した経営に大きく貢献している。

少子化による人口減で新築戸建てのガーデンエクステリア市場が縮小することを想定し、今後は既存戸建て住宅のリ・ガーデン、リ・エクステリアなど住宅の外回りリフォーム需要の開拓に向けて新製品の投入比率を高める考えだ。

海外市場では6年前からアメリカ、ドイツ、オーストラリア、フィリピンで販売を開始し、国際コンベンションへの参加を通じて本格的なグローバル展開にも着手している。