「頭金ゼロ」で購入したマイホームの代償

荻野家の家計をチェック [世帯年収:1250万円]
家族構成●夫(53歳・食品メーカー営業)、妻(45歳・アクセサリーショップ手伝い)、子供(長男・15歳)
年収●額面=夫・1200万円、妻・50万円(うちボーナス=夫・夏100万円/冬100万円)
貯金額●120万

60歳の退職時に多額のローンが残る

東京郊外に庭付き一戸建てのマイホームを持ち、部下を招いてホームパーティを催し、労をねぎらう――。絵に描いたような幸せな家庭ですが、家計は破綻寸前。毎月7万円を超える赤字になっています。

最大の原因は、頭金ゼロで購入したマイホーム。夫が45歳のときに4500万円の住宅ローンを返済期間30年で借りました。その返済が毎月約15万円で、家計を圧迫しています。

完済は75歳。それなりの退職金を受け取れると想定し、退職時に住宅ローンの残債を一括返済するつもりですが、60歳定年とすると、その時点では2000万円ほどのローン元金が残る計算です。これでは退職金をほぼ使い果たしてしまいます。

かといって、住宅ローンは見直しの方法がありません。金利が低い時期に組んでいるので借り換えをしても効果は少ない。しっかりと貯蓄して地道に繰り上げ返済するしかありません。

月収60万円強で10万円と夫の小遣いが高いのも考えものです。「部下に奢るのも必要」とのことですが、本当に必要経費かどうかの検討をする余地はあるでしょう。

【WEAK POINT1】――持ち家を売却しても完済できないローン
夫が45歳のときに、頭金なし・4500万円で30年ローンを組んで郊外に新築一軒家を購入。持ち家を売却するときに残りのローンを完済できるくらいの残高になるよう、頭金を入れておくべき。頭金は物件価格の2割くらいは欲しいところ。

【WEAK POINT2】――10万円の小遣いは部下との飲み代に
13万円の内訳は、夫10万円+妻2万円+子供1万円。夫の小遣い10万円は会社の部下と外で飲み歩くときの支払い代。

弱点克服法 ⇒ 夫婦ともに見栄を張らない
理想は……
住居費10万8千円(月収の17%)
小遣い6万円(夫4万円、妻1万5千円、子供5千円)
被服費1万5千円
家計再生コンサルタント 横山光昭

マイエフピー代表取締役社長。ファイナンシャルプランナー。1万件以上の赤字家計を再生。著書の『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズは累計95万部を突破。
 
(構成=向山 勇 図版作成=大橋昭一)
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