芸能界との境界が曖昧になってきた

昨年は芸能スキャンダルが盛り上がりました。視聴者の反応や評価はかなり厳しかったようで、「不倫したタレントをテレビで使うべきか」などの議論もなお続いています。

視聴者の目は厳しくなった。

人間には、自分と同質や近い世界のものには強い比較や対抗の意識を持つ性質があるようです。逆に、まったく別世界のものに関しては、寛容になれる。自分の存在意義や価値観に影響しないからです。

以前はもっと、芸能人などのスキャンダルに対して寛容だったという話をよく聞きます。ブラウン管の向こう側(芸能界)の人が不倫しようが、泥沼の私生活を暴露されようが、しょせんは別世界の人。好奇の目で見ることはあっても、それがいっそう別世界らしさを演出し、一般人たちがそんなに目くじらを立てることはなかったみたいです。

ところが最近は、向こう側(芸能界)とこちら側(一般人の世界)の境界が、ちょっと曖昧になってきたのだと思います。会いに行けるアイドルが生まれ、ツイッターで直接やりとりができるようになり、身近な人が動画サイトなんかで一躍有名になったりもするようになりました。

そもそも、そんな境界なんて人間が勝手につくったものなので、本質的に違いや線引があるわけではありません。同じ人間を、別世界風に演出しているだけです。ただ、そのはっきりとした境界によって、そこに一定の寛容さもあったのだとおもいます。「自分とは別世界の話だから」と。

ところが、そんなこんなで最近では、別世界のはずだった人たちを、自分の人生の延長線上に見るようになってきたのだと思います。そして、芸能人の背徳的な言動を許してしまうことは、自分の価値観やモラルも否定されてしまったり、守ってきた秩序が脅かされたりするような感覚に繋がってきたのだと思います。だから、許せない。

そんなことをぼんやり考えていたある日の夜、僕はこんな夢を見ました。