入学後に申請する大学独自の給付奨学金にも、採用人数が多いものはある。明治大学給費奨学金(やや家計重視)の場合、2015年度は2242名の応募者(1~4年生合計)のうち1440名(約64%)が採用候補に。中央大学では各学部に、成績重視型の多様な給付型奨学金制度があり、全学で500人以上の学生が支給を受けている。

民間団体や自治体の給付奨学金は、募集人数が数人から数十人と、より少数精鋭型。「自治体の奨学金のほうが一般に家計重視型で、応募資格も居住者に限られるため狙い目かもしれません」(久米氏)。

一方、各都道府県のトップ公立高校から難関国公立大学をめざす受験生なら、JT国内大学奨学金(高校推薦)を検討してはどうか。出願は指定校から各校1人のみ、校長推薦が必要で成績要件も収入条件も厳しいが、4年分の学校納付金相当額に加え、30万円の入学一時金、毎月5万~12万円の月額奨学金が支給される。

とはいえ、給付奨学金だけを頼りに進学資金計画を立てるのはあまりに無謀だとも、久米氏は指摘する。「選考を通る保障はありませんし、たとえ通ったとしても、不慮のトラブルで受給資格を失うこともありえます。事前の学費貯蓄や、貸与型を含む他の奨学金との併用も、必ず検討してください」。

久米忠史

奨学金アドバイザー。1968年、和歌山県生まれ。わかりやすい説明が評判を呼び、全国の高校や大学で年間100回以上も講演。著書に『奨学金 借りる? 借りない? 見極めガイド』など。
 
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