「脇の甘さ」がちょうどいい

以前、あるカフェオーナーからこんな話を聞いたことがあります。「カフェではあまりきちんと接客しすぎちゃダメなんだよ。『脇の甘いサービス』くらいがちょうどいいんだ」。もちろん、店員さんが満面の笑みを浮かべながら完璧なサービスをしてくれるカフェはとても魅力的です(例えばスターバックスにはそういうスタッフが多くいるのを感じます)。

一方で、店に入ったら大きな声で挨拶されたり、あるいはちょっと水がなくなるとあまりに頻繁に注ぎに来られたりしたら、それはそれで「カフェとしては何か違う」と感じてしまう気持ちもわかります。カフェの魅力のひとつが、レストランや居酒屋とは違う「ゆるさ」だとしたら、それにあわせて接客も適度にゆるめたほうがマッチするというのもおもしろいところです。「業態と接客の関係」を、一度じっくり観察してみるのも一興なのではないでしょうか。

子安大輔(こやす・だいすけ)●カゲン取締役、飲食プロデューサー。1976年生まれ、神奈川県出身。99年東京大学経済学部を卒業後、博報堂入社。食品や飲料、金融などのマーケティング戦略立案に携わる。2003年に飲食業界に転身し、中村悌二氏と共同でカゲンを設立。飲食店や商業施設のプロデュースやコンサルティングを中心に、食に関する企画業務を広く手がけている。著書に、『「お通し」はなぜ必ず出るのか』『ラー油とハイボール』。
株式会社カゲン http://www.kagen.biz/

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