盟主が果たす役割とは何か?

盟主としての役割は何かというと、これは盟主の条件と言い換えてもいいのですが、VISAのネットワークでつながる加盟店の手数料率の大まかな基準を示すということが、まずあげられます。手数料率は業種によって違うのですが、たとえば水商売ですと5~7%、コンビニエンスストアは1~2%といった具合に決まっています。こうした手数料率の指標になるものを盟主が提案するわけです。

もうひとつは、クレジットカード会社を、カードを発行する会社と加盟店を開拓する会社の2つに分けるという役割があります。前者を「イシュアー」、後者を「アクワイアラー」というのですが、この2つに分けることでそれぞれがやるべきことが明確になって秩序が生まれ、業界全体がうまく回るようになったのです。

たとえば、Aという会社に対して「あなたのところはカードを発行し加盟店の開拓をしてもいいですよ」ということにして、一方のBという会社については「お宅はカード発行だけですよ」というように、それぞれの会社の規模や特性に合わせてうまく差配するわけです。その結果、クレジットカードの普及が急速に進み、いまのようにどこでもカードが使えるようになったのです。

このようにして、VISA(を始めとする国際ブランド)は、プラスチックカードと専用線(電話回線)を使って世界をつないだわけです。そのインフラを活用して、世界規模での決済を可能にしたのですが、決済といっても、これは簡単ではありません。カードのサイズから、取り引きのやり方まで厳しく規制しなければ、決済はできません。

世界中どこでも同じルール、同じ規格のグローバルスタンダードが必要とされます。バラバラであったら、ひとつも動きません。そこでVISAは、統一規格を作るようになりました。具体的には、プラスチックカードのサイズやロゴの位置、決済の手順など、さらには、カードが不正に使われた時の補償のルールまでを統一したのです。そういった細かいところまでVISAをはじめとした国際ブランドが決めることになりました。

逆にいうと、そうした統率ができるのが盟主の証しと考えられていたのです。