「AWDはマツダ」という評価が得られるか

実は、このマツダが開発したAWDのメカニズムは、2012年2月に登場した先代のCX-5にすでに搭載されている。発売当時、マツダは新技術の「スカイアクティブ」を市場に浸透させることを重点にした広報・販売活動をしたため、この新開発AWDが強く打ち出されていたわけではなかった。しかし、それにもかかわらず、ユーザーの間では高く評価され、受け入れられた。その証拠が、CX-5のAWD比率に如実に表れている。発売から2016年10月までの累計販売台数約15万台のうち、AWDの占める割合はなんと、39パーセントにまでなっている。つまりCX-5ユーザー5人のうち2人がAWDに乗っているのだ。

これまで高く評価されてきたマツダのAWDに新たにGベクタリングコントロールという独自技術が加わり、他社のAWDとの違いがより鮮明になった。

「1センチたりともタイヤをすべらせるな」

タイヤをスリップさせることなく、しっかりと接地させ駆動力を無駄なく路面に伝えることによって、AWDに必要な機構やユニットの重量増による燃費の低下を上回る効率を得られれば、FFに優るとも劣らない、いや、越えるかもしれない燃料消費性能が得られるはず。同時に操縦安定性も進化する。

この発想が「AWDはマツダ」という評価を市場に定着させられるかどうか、注目したいと思う。そして蛇足ながら、このAWDが、この2月、新たに市場に投入されるCX-5を成功に導くための強力な武器になるかどうか。この点にも目を向けていたい。

(文中敬称略)

(宮本喜一写真)
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