「女性志望者多数」のジレンマ

――農業では人の確保が課題のひとつですが、どのような取り組みをしていますか。
トーマツのコンサルタント大和田氏と、本社会議室にて。

【軽部】以前なら「農業がしたい」と男性が応募してきましたが、今は直営店で弁当や総菜を売っている影響で女性が働く職場というイメージが強まったからか、女性の応募が増えました。ただ、店舗勤務希望の女性を生産や加工の現場に配属すると、「想像とは違う」と早々に辞めていくケースが少なくありません。それはジレンマですね。

新卒採用でいえば、高卒は基本的に採用していません。高卒を否定しているわけではなく、社会人としての基礎から教育する余裕やノウハウがないという採用側の問題です。以前は高卒も採用していましたが、高校を卒業したばかりの人に、社会性を期待するのは厳しいと感じました。一方で、大学や短大に通っていれば、それが社会に出るための準備期間にもなります。大卒や短大卒の人のほうが早く会社に馴染んでもらえるのではと思っています。

――採用した人のモチベーションを維持するための取り組みは?

【軽部】毎年個人目標を設定し、その目標に対する本人の取り組みや成果を年3回の面談で評価、査定するという仕組みを採用しています。

――社長としての仕事や役割についてはどのようにお考えですか。

【軽部】会社が進むべき方向を示しながら、社員を導くことでしょうか。社員一人ひとりの担当業務は違っていても、六星らしさやお客さまが六星に望むことについては共有しているはずなので、黙っていてもある程度は同じ方向を向いてくれています。しかし、たまにずれてしまったときに、社員と話して元に戻すのは私の役割だと思っています。

有限責任監査法人トーマツ
有限責任監査法人トーマツは、日本におけるデロイト トウシュ トーマツ リミテッドのメンバーファームの一員である。監査、マネジメントコンサルティング、株式公開支援等を提供する、日本で最大級の会計事務所のひとつ。
農林水産業ビジネス推進室
農林水産業ビジネス推進室はトーマツ内の農業ビジネス専門家に加え、農業生産法人などの農業者、小売、外食、食品メーカー、金融機関、公官庁、大学他専門機関など外部組織と連携し、日本農業の強化・成長を実現するための新しい事業モデルの構築を推進している。詳細はWebサイト(https://www2.deloitte.com/jp/aff)参照。
(大和田悠一(有限責任監査法人トーマツ)=聞き手 前田はるみ=文・構成 尾崎三朗=撮影)
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