「仕事にやる気が出ない」「もっと頑張らなくては」──。こんな悩みを抱えている人は多いのでは。今大ブームのアドラー心理学は、無理に頑張らなくても、自分のやる気を引き出せる方法を教えている。やる気をなくしてしまった7つの症状別に「やる気が湧く行動習慣」を紹介していく。

(1)「超」気配り型

評価軸が他者にあると他人の注目が気になる

「出る杭は打たれる」式の日本文化を象徴してか、目立ちすぎないようにと周囲の顔色を窺っているビジネスパーソンは非常に多い。だが、職場で過度な「気配り」をすることでやる気を失い、結果的に仕事のパフォーマンスが落ちていないだろうか。

そもそも、周りを気にするとはどういうことか。アドラー心理学を使った研修やカウンセリングで定評のある岩井俊憲氏は「アドラー流にいえば、承認欲求が強すぎる状態」と定義づける。「評価軸が他者にあるため、他者からどう注目されるか、他者が自分に何を与えてくれるかが気になる」のだという。組織人事コンサルタントであり、アドラー派の心理カウンセラーでもある小倉広氏は、こうした人を、「自分の人生という名のクルマのハンドルを他人に渡している」と表現する。

そんな「気にしい型」がやる気を出すにはどうしたらいいか。「まずは自分のことは自分で決めると決意をすることが大事」と小倉氏はいう。米大リーグのマイアミ・マーリンズに所属するイチロー選手は「負けているときに落ち込んだり勝っているときに喜ぶチームは怖くない。負けているのに元気なチーム、勝っているのに喜ばないチームこそが怖い」という趣旨の発言をしている。周囲からの評価や、状況に一喜一憂するのではなく、セルフチェックをして自分にOKを出すのが一流。つまり、評価軸を自分の中に見出すのだ。

そのためには人目を気にしない訓練が必要になる。ごく簡単なことでいい。たとえば、上司と意見が違う場合、臆せずに自分の意見を主張してみるのはどうだろう。あるいは明日にでもできることとして、自分の好きな色のジャケットやシャツを着てみたり、流行の髪形に変えてみたりするのもいい。ささやかなことでいいから、人目を気にせず自分らしさの一歩を踏み出すのが大事なのだ。

「そんなことをしたら嫌われないだろうか」と心配する向きに小倉氏はこういう。「多くの場合、他人は自分が思うほど自分のことに興味がない。みんな自分のことで精一杯です。それを体験してみることで人目を気にすることのバカらしさに気づく」。